2021年4月 アメリカ移民法ダイジェスト

1.   F-1 OPT資格を申請中であったり、OPTからH-1Bビザへ資格変更をする予定の留学生が、国外渡航をする場合の留意点

 

概要

  • オプショナルプラクティカルトレーニング(OPT)を申請または資格を有している留学生、または今年のH-1B申請シーズンに在留資格をH-1Bへ変更するF-1学生が国外旅行をする際には、幾つかの留意点があります。
  • 世界各国が実施するコロナウイルスに対する施策、米国政府が実施している特定の国や地域を対象にした入国禁止令、米国大使館・領事館の領事業務の削減など、いくつかの重要な要因が今年の旅行に影響を与えます。
  • 在留資格がH-1Bに変わるのを待っている間に海外に旅行した場合、F-1ステータス、資格変更申請、および米国への再入国に影響を与える可能性があります。

 

詳細

もし、現在オプショナルプラクティカルトレーニング(OPT)を申請中であったり、またはOPTで就労・研修中であったり、2021年10月1日からH-1Bビザへ在留資格変更をする予定の御社の従業員が、海外渡航をする場合は注意が必要です。これは、たとえ対象者が就学を継続していたり、F-1学生に与えられる60日間の猶予期間(Grace Period)中であったり、OPTの期間(STEM延長を含む)中であったり、または「キャップギャップ」と呼ばれる特別猶予期間中であっても同じです。また、今年はコロナウイルス対策の為、海外旅行に影響を与える追加のリスクと各国政府の施策にも注意する必要があります。

下記のリンクには、F-1学生と海外旅行に関する『よくある質問』への、当事務所からの回答が掲載されています。質問1〜6は、今年のF-1学生の海外旅行に影響を与えるCOVID-19関連の制限とポリシーの背景を説明しています。質問7〜10は、12か月有効なOPTを所持していたり、それが終わった後の60日間の猶予期間中に直面する問題に関して説明をしています。質問11〜12は、STEMOPT延長期間およびそれに関連する60日間の猶予期間中に直面する問題に関して説明をおこなっています。そして、質問13〜17は、H-1Bの在留資格変更請願書の提出後に直面する問題を説明しています。

 

皆様と皆様の会社で勤務する留学生の方々の参考になれば幸いです。

https://www.fragomen.com/insights/alerts/travel-tips-foreign-students-op...

 

 

2.米国移民局は、2022年度のH-1B発給枠申請の抽選手続きを終えました

 

概要

  • 移民局は、H-1Bビザ発給枠申請の登録数が年間発給枠の上限である85,000に達したことを発表しました。
  • 移民局は、通常枠(65,000)および米国の大学院卒者枠(20,000)の選考抽選を終え、選考結果を雇用主に通知しました。H-1Bキャップ登録アカウントにログインすれば、雇用主は当選者を確認することができます。

 

詳細

米国移民局は、2022会計年度(FY)のH-1B発給枠申請登録が年間制限に達し、抽選手続きも完了したことを発表しました。H-1Bビザ申請のスポンサーとなる雇用主とその代理人弁護士は、選考結果が通知され、登録アカウントで抽選結果を確認できるようになりました。

3月9日から25日迄の登録機関中、65,000の標準発給枠と、米国の大学院卒者枠に対する20,000の上限を満たすのに十分な数の登録が提出されました。提出された登録の正確な数は、まだ明らかにされていません。

 

次のステップ: 抽選結果をオンラインで確認する

抽選結果を知るには、会社代理人弁護士と会社の担当者(H-1B発給枠対象申請の事前抽選登録の際に、会社の代表・署名者として登録されている方)が、my.USCIS.govアカウントにアクセスし、各登録対象者のステータスを確認する必要があります。さらに、発給枠登録ごとに、移民局は会社の担当者および代理人の弁護士に、登録ステータスに変更があったことを通知するEメールを送信します。

登録された対象者ごとに、移民局オンラインシステムは次のいずれかの情報が反映されているはずです。

  • 当選(Selected):雇用主は、4月1日から2022年度のH-1B申請を提出することができます。
  • 提出済み(Submitted):最初の抽選では選ばれませんでしたが、移民局が提出期間中に十分なH-1B発給枠対象の申請を受け取らなかった場合、この登録者に対しては会計年度末(21年9月末日)まで再抽選の対象になります。雇用主は、移民局から別段の通知がない限り、この対象者に対して2022年度のH-1Bビザ申請を提出することはできません。
  • 拒否(Denied):同じ対象者に対して雇用主から重複登録が提出されたか、登録料の支払い方法が拒否され、その点が解決されなかった事を意味します。登録の重複を理由に拒否された場合、その対象者に対する雇用主の登録はすべて無効になります。
  • 無効(Invalidated) –支払いの失敗:雇用者・代理人弁護士から登録申請は提出されましたが、支払い方法が拒否されたか、その点が解決されなかったか、その他の理由で無効になりました。

 

H-1B発給枠対象の請願書の提出は、4月1日から始まります

移民局は、2021年4月1日から、H-1B発給枠対象申請の受付を始めます。請願書の提出期間は、その後6月30日迄です。 3月25日から30日以内に当選した登録については、この期間中に2022年度のすべてのH-1B発給枠対象申請を提出する必要があります。

ほとんどの場合、発給枠対象申請は提出期間中であればいつでも提出できますが、特定の時間に提出する必要がある場合もあります。H-1Bビザ申請である対象者が、オプショナルプラクティカルトレーニング(OPT)で就労・研修をしているF-1学生で、キャップギャップの救済措置が必要な場合は、OPT雇用許可の有効期限が切れる前に請願書を提出する必要があります。また、申請対象者が学位の修了または授与を待っている場合、学位が発行されるか、学位の要件が満たされていることを示す適切な書類を学校から入手するまで、請願書を提出することはできません。

移民局は、2022年度の上限申請のために特急審査サービスの提供を一時停止するかどうかについて、発表していません。現在の時点で、特急審査要請は受け付けられていますが、移民局は、前年度と同様に、ほとんどまたは全く事前の通知なしに突然同サービスの遅延または一時停止を発表する可能性があります。

 

発給枠申請の抽選に登録された外国人にとって、これは何を意味するのか

H-1Bビザ申請のスポンサーとなる雇用主とその代理人弁護士は、移民局登録システムにアクセスして、2022年度の抽選結果を確認します。そして、当選した登録者については、代理人弁護士と共にH-1B請願書を提出するための次のステップへ進みます。選に漏れた登録者についても、代替の対応策の検討に入ることになります。

 

これが雇用主にとって何を意味するか

御社のご担当者と代理人弁護士は、登録システムにログインして、どの対象者が当選したのかを確認し、当選者については移民局が発行した当選通知を入手します。同ご担当者は、今後も移民局の登録システムから届くEメールには注意してください。代理人弁護士も、同じEメールを受信します。

H-1Bキャップ請願書の提出を容易にするために、代理人弁護士と緊密に連携して、移民局の当選通知、雇用主に関する資料、対象者の成績・卒業証明書などを含む重要な裏付けとなる証拠資料を、迅速に収集できるようにしてください。

 

 

3.    米国移民局は、証拠要求(Request for Evidence)、拒否または取り消す意図の通知(Notice of Intent  to Deny or Revoke)、控訴、およびその他の対応に関する既存のCOVID-19の暫定対応措置を、2021年6月30日まで再延長しました

 

 

概要:

  • COVID-19緊急事態への対応として、米国移民局(USCIS)は60日間の期限延長施策を2021年6月30日まで再度延長しました
  • 雇用者と申請対象の外国人社員は、証拠の要求、拒否または取り消す意図の通知、EB-5地域投資センターを終了する意図の通知、および2020年3月1日から2021年6月30日まで出されたその他の特定の通知に応答するための回答期間を、通常政府が指定する期限からさらに60日間延長します。
  • 雇用主と外国人は、2020年3月1日から2021年6月30日までの間に発行されたUSCISの決定を、政府に対し再考を要請する控訴または再考申し立てを提出するための期限も、移民局の審査結果発表日から30日ではなく60日に延期されます。

 

詳細:

米国移民局(USCIS)は、COVID-19パンデミックへの継続的な対応の一環として、移民局が下すさまざまな判断への対応期限を60日間延長する暫定施策を、2021年6月30日までさらに延長します。この施策は、次のような対応を行う場合に利用することができます。

  • 証拠の要求(RFE)、
  • 拒否の意思の通知(NOID)、
  • 取り消す意思の通知(NOIR)、
  • EB-5地域投資センター(NOIT)を終了する意向の通知、および撤回する意向の通知、
  • USCISの不利な決定を再開するためのフォームI-290Bの控訴/申立の要件、および
  • フォームN-336、帰化手続の提出日の要件に関する決定に関する聴聞会の要請。

 

COVID-19パンデミックの悪影響を最小限に抑える手段として2020年3月に最初に発表されたこの暫定措置は、当初2020年9月に終了する予定でしたが、以来数回延長されてきています。

 

回答期限延長の詳細

2020年3月1日から2021年6月30日までの日付のRFE、NOID、NOIR、NOIT、または撤回の意思通知を受け取った雇用主や外国籍社員は、通知への回答期限が、元の回答期限からさらに60暦日延長される恩恵を受けることができます。 2020年3月1日から2021年6月30日までの日付の移民局による却下判断に対する控訴や再考要請は、USCISの判断日から30日以内ではなく、60日内に提出することが許されています。

 

これが雇用主と外国人にとって何を意味するか

回答期限の延長は、米国の事業が一時的に中断されたままであり、社員がリモートワークを続けている間、USCISからの追加質問要請に対応したり、却下判断を控訴したりする雇用主や外国人へのプレッシャーを軽減し続けることになるでしょう。 念のため、この暫定施策は滞在延長や就労許可の申請には影響しません。これらの申請は、引き続き失効日までに提出する必要があります。

 

 

4.   Immigration and Custom Enforcement (ICE)は、I-9手続きを行う為の暫定COVID-19対応措置を5月31日まで延長します。また、4月1日以降の新規雇用のため、便宜政策を拡大します

 

概要

  • COVID-19緊急事態のため、ICEはI-9手続きに必要な書類確認を遠隔でできる暫定措置を、2021年5月31日まで延長すること決めました。
  • 条件を満たす雇用主は、暫定ポリシーが期限切れになるまでか、またはCOVID-19緊急事態が終了してから3日後のいずれか早い方まで、従業員の就労資格を証明する書類を従業員の面前で確認する必要はありません。
  • 2021年4月1日以降に遠隔のI-9手続きで雇用確認を済ませて入社した社員に対しては、『定期的に、一貫して、予見可能(regular, consistent or predictable basis)』な状態で出社業務を再開したら、雇用証明書類の確認する必要があります

 

詳細:

ICEは、新入社員が合法的な就労資格を有していることを確認するI-9手続きにおいて、社員が提示する証明書類のオリジナルを社員の面前で確認する通常の要件を緩和する暫定措置を、2021年5月31日まで延長し、要件を満たす雇用者においては遠隔で書類確認をすることを許可しています。

この暫定施策の要件を満たし、この施策に基づいてI-9手続きを行う雇用主は、Form I-9の Section 2を記入する際に確認する就労許可証明書類を、ビデオ、ファックス、または電子メールで検証でき、それら文書のコピーを残しておく必要があります。I-9手続きを完了するには厳格なタイムラインが設定されていますが、それは暫定措置の下でも変わりません。 Form I-9のセクション1は従業員の就労開始日までに完了する必要があり、セクション2は開始日から3営業日以内に完了する必要があります。この暫定便宜施策を利用する雇用者は、各従業員に対し会社の遠隔による入社手続き及び遠隔勤務ポリシーを書面で提供しなければなりません。

 

2021年4月1日以降に雇用された従業員向けの、遠隔I-9手続きポリシー

雇用主は、(1)2021年4月1日以降に雇用された従業員で、(2)完全に遠隔勤務を行っている従業員に対しては、たとえ社員の一部は出社業務を再開している場合でも、遠隔によるI-9手順を行うことができます。これらの新入社員の場合、遠隔I-9手続きの便宜施策を利用するために、雇用主がすべての従業員を対象に遠隔勤務させる必要がなくなりました。これは、2021年4月1日以前に実施されていた政府の施策の変更を意味します。ただし、雇用主は、「定期的、一貫性、または予測可能な基準」で出社業務をしている新入社員には、通常のI-9手順を実施する必要があります。

上記条件を満たす新入社員が4月1日以降に遠隔でI-9プロセスを完了した場合、雇用主は、(1)当該従業員が定期的、一貫性、または予測可能な基準で対面業務を開始してから3日後か、(2)COVID-19緊急事態が終了した後、またはICEがこの暫定施策を終了した後3日以内の、いずれか早い方まで従業員の就労許可書類を直接検査する必要はありません。尚、雇用主の裁量により、遠隔でI-9手続きをした社員に対し、左記の期間よりも早く就労許可書類の直接確認を始めることは可能です。雇用主は、従業員全体で一貫した差別のない方法で、そのような検査慣行を実施しなければなりません。

 

4月1日以前の暫定政策とその限界

2020年3月20日から2021年3月31日までの間に入社した従業員の場合、COVID-19でリモート勤務をする従業員のために、雇用主は暫定のI-9便宜施策を使用することが許されていました。しかし、それには条件があり、勤務先が完全に遠隔勤務を行っており、職場に出勤して勤務する社員がいない場合に限られていました。通常の業務が再開されれば、この便宜施策を利用した雇用主は、施策の対象となった従業員の就労許可書類を3日以内に再度直接確認する必要があります。上記のように、雇用主はその裁量で、施策対象社員の書類の直接確認を、政府が定めた時間枠よりも早く開始することができます。このような検査の実施は、従業員全体で一貫した差別のない方法で実施する必要があります。

 

雇用主が考慮すべき点

雇用主は、雇用主に代わって検証を完了するための代理人(Third Party Agent)の使用を含む、標準のI-9手順を引き続き実行することもできます。遠隔によるI-9手順を採用するか継続するかを検討している雇用主は、次のことを考慮する必要があります。

  • 遠隔でのI-9手続きは面倒な点があります。そのため、企業の中には、雇用主に代わってオフサイトの代理人を利用して従業員の就労許可書類を確認してForm I-9に記入するなど、標準のI-9手続き方法を利用して社員の社員のI-9手続きをすることを好む場合があります。
  • 遠隔によるI-9手続きの便宜策を使用する雇用者は、通常の業務再開後3日以内に、便宜策で手続きを行った社員の就労許可書類を実際に確認する必要があります。これは、雇用主が多数の従業員の書類を確認するために、非常に限られた時間しかない可能性があることを意味しています。
  • 会社が遠隔でのI-9手順を過去に使用していたり、今も使用している場合は、遠隔手続きの対象となった従業員の書類の物理的な検査を、政府が設定た期限よりも早く始めることを検討すべきでしょう。会社がこの方法を実施する場合は、対象となった全ての社員に対し一貫して行う必要があります。
  • 遠隔でのI-9手続きとその拡張により、COVID-19緊急時において雇用者にはある程度の柔軟性がもたらされますが、政府がこの遠隔ポリシーをどのように実施するかが明確でないことに注意してください。例えば、政府は「完全にリモートワーク」または「定期的、一貫性、または予測可能な」非リモートワークが何を意味するのか、定義していません。したがって、遠隔によるI-9手順を使用する雇用者は、I-9を管理する上での利便性と、I-9の監査を受けた場合の罰金やその他の罰則の可能性やリスクを比較検討する必要があるでしょう。

 

 

5.   米国-カナダおよび米国-メキシコの国境制限が4月21日まで延長へ

 

概要:

  • カナダおよびメキシコからのアメリカ入国を、必須な旅行のみを認めるアメリカ政府の越境制限は、2021年4月21日まで延長されました。尚、この制限は空路でのアメリカ入国には影響しません。
  • 必須の旅行には、米国市民、合法的な永住者、および米国で働く外国人の渡航などが含まれます。
  • ビザ免除プログラムやその他のビジネス旅行者は、国境で​​さらに精査される可能性があります。
  • 「必須ではない旅行」での米国入国は許可されていません。これには、観光またはレクリエーション目的の旅行が含まれます。

 

問題

米国税関国境警備局(Custom and Border Protection - CBP)は、必須でない旅行でカナダとメキシコから陸路やフェリーで入国することを禁じたトランプ政権時代の渡航制限を、2021年4月21日まで延長しました。この渡航制限は、3月21日に期限切れになる予定でした。

この渡航制限は、COVID-19の発生に対応して2020年3月21日に導入されました。当初は2020年4月20日に期限が切れる予定でしたが、1か月ごとに数回延長されています。 COVID緊急事態の状況に応じて、3月に延長の可能性についてポリシーが再度見直される可能性があります。尚、この渡航制限は空路でのアメリカ入国には影響しません。

 

詳細

CBPは、「必須ではない」旅行を、観光、ギャンブル、文化イベントへの参加など、本質的に観光またはレクリエーションと見なされる旅行と定義しています。

一方、陸路でのアメリカ入国が許される「必須」の旅行には、以下が含まれますが、これらに限定されません。

  • 米国市民および合法的な永住者が米国に帰国
  • 合法的な国境を越えた貿易のための旅行(例:貨物を運ぶトラック運転手)
  • 米国で働くために旅行する
  • 医療目的での旅行(例:米国で治療を受けるため)
  • 教育機関に通うための旅行
  • 緊急時対応および公衆衛生目的での旅行(例:COVID-19またはその他の緊急事態に対応するための政府の取り組みを支援するために米国に入国する政府職員または緊急時対応要員)
  • 米軍のメンバーとその配偶者および子供たちによる旅行、米国への帰国
  • ケースバイケースでCBPによって決定された他の形態の旅行

 

貿易および出張目的の渡米の際には、国境で追加審査の対象になると述べています。実際には、国境制限が始まって以来、ビジネス旅行者の扱いには一貫性がありませんでした。

 

これが雇用主と外国人にとって何を意味するか

既存のガイダンスの下では、米国市民、合法的な永住者、および外国への出張は、越境制限の期間中でも制限の対象とはなりません。ただし、CBPの職員は入国者を検査する幅広い裁量権を持っているため、陸路でアメリカへ入国する外国人は、米国での雇用や事業活動について詳細な質問を受ける可能性があることには留意してください。