アメリカ移民法ダイジェスト 2022年2月
March 2, 2022
By: Shintaro Araki
1. 2023年度H-1B発給枠対象の登録受付が、3月1日(火)から始まります
概要
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- 雇用主および代理の弁護士は、2023年度H-1B発給枠対象申請の抽選登録を、3月1日(火)正午(東部時間)から3月18日(金)正午(東部時間)の間に行うことができます。
- この期間中、移民局には非常に多くのオンライン登録が寄せられると予想されています。その結果、登録手続きの際に技術的な遅れが生じる可能性があります。
- 雇用者を代理し移民弁護士が登録をする前に、雇用主は速やかに登録内容を確認し、承認し、電子署名を行う必要があります。
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問題点
移民局は、2023年度のH-1B発給枠対象申請の抽選登録の受付を3月1日(火)正午(米国東部時間)より開始する予定です。雇用主および移民弁護士は、3月18日(金)正午(米国東部時間)までに、登録書類の作成、レビュー、電子署名、および提出を行う必要があります。
登録期間中に雇用主が行うべきこと
御社が移民弁護士と協力してH-1Bキャップ登録の起草および提出を行う場合、次のことを行う必要があります。
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- 移民局のオンラインシステムで「H-1B登録者」アカウントを持つ。スポンサーとなる雇用主は、登録手続きにおいて弁護士を代理人とする場合でも、govのH-1B登録者アカウントを取得する必要があります。詳しくは、当事務所が作成した雇用主のアカウント設定に関するFAQをご覧ください。https://www.fragomen.com/insights/united-states-h-1b-cap-update-employers-may-now-create-new-cap-registration-accounts.html
- H-1B申請対象の社員をできるだけ早く特定する。発給枠対象のH-1Bビザ申請を必要とする外国人の一覧をまだ移民弁護士に提供していない企業は、3月18日の期限までに移民局への登録を提出できるように、できるだけ早く弁護士へリストを提供してください。
- 移民法専門家が作成した各登録を速やかに確認すること。弁護士が貴社の抽選登録用の草案申請を作成し終えたら、貴社が指定する社内の署名者は移民局のシステムにログインし、登録内容を確認、承認、電子署名をする必要があります。また、この時に、会社の登録内容に変更が必要かどうかも確認します。登録期間は短いので、署名者は弁護士から要請があり次第、すぐに登録を確認する必要があります。 登録内容の確認・承認方法については、当事務所作成のH-1B発給枠申請抽選登録に関するFAQ(上述)をご覧ください。
- 技術的な遅れの可能性に備えてください。3月1日から3月18日の間、移民局のシステムには非常に多くのユーザーが利用することが予想されます。その結果、スピードダウンや技術的な不具合が発生する可能性があります。問題が発生した場合は、御社の案件を担当する当事務所の担当チームと移民局のヘルプデスクにお知らせください。登録期限が近づくにつれ、オンライン上の手続きスピード低下のリスクは高まります。抽選登録を迅速に完了し提出できれば、登録直前に発生しうる左記のような問題を最小限に抑えることができます。何らかの理由でシステムが作動しなくなった場合、移民局は登録を一時停止する権限を有します。その場合、移民局は雇用主に対して更なる指示を出すことになっています。
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登録期間終了後の流れ
2022年3月18日の登録期間終了後、移民局は2度の登録抽選を行い、発給枠対象のH-1Bビザ請願書を提出することができる対象者を選出する予定です。最初の抽選は、登録されたすべてのH-1B申請希望者が対象となります。移民局はこの抽選で、通常のH-1Bの上限である65,000人を満たすのに十分な登録者を選出します。2回目の抽選は、1回目の抽選に漏れた「マスターズキャップ(米国の大学院卒者用の発給枠)」の登録者全員を対象とします。移民局はこの抽選で、米国の大学院卒者を対象としたH-1Bの発給上限である20,000人を満たすだけの登録者を選出します。この2度の抽選に基づき提出されるH-1B請願書の数が、2023年度の定員を満たすのに十分でない場合、その後の再度の抽選が行われる可能性があります。
移民局は、3月31日までに雇用主および移民弁護士に抽選結果を通知する予定です。各抽選登録に対して、会社を代表して登録申請に署名をした署名者と移民弁護士に対し、移民局はEメールを送信します。このメールは、抽選登録のステータスに変更があったことを受信者に通知する内容です。抽選結果を知るには、フラグメン弁護士と御社の署名権者がmy.USCIS.govアカウントにアクセスし、各登録対象者の登録申請のステータスを確認する必要があります。
移民局は、2022年4月1日から抽選で選ばれた人のH-1B請願申請の受付を開始する予定です。 請願書の提出期間は、2022年6月30日までです。3月の抽選で選ばれた方々の2023年度H-1B請願申請は、すべてこの期間中に提出しなければなりません。
2. プレミアム・プロセッシング・プログラム(特急審査サービス)拡大のための規制が連邦審査を通過
概要
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- 米国移民局(USCIS)は、プレミアム・プロセッシングを拡大する最終規則を行政管理予算局に提出し、公表と実施に近づいたことを発表しました。
- この規則は、2020年10月に議会がUSCISに指示した、雇用許可申請(Form I-765)および特定の扶養家族の非移民資格変更および滞在延長申請(Form I-539)を含む、多くのケースタイプにプレミアム・プロセッシングサービスを拡大するための法案を実施するための規則です。
- 最終規則の具体的な内容(プレミアム・プロセッシングの対象となるケースタイプ、審査期間、申請手数料や実施日など)はまだ明らかになっていませんが、拡大の実施は数ヶ月以上かけて徐々に行われると予想されます。
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問題点
米国移民局(USCIS)のプレミアム・プロセッシング・プログラムの対象を拡大し、新たにいくつかの移民給付案件を対象に加える最終規則が行政管理予算局(OMB)により承認され、公表・実施に一歩近づきました。 この規則は、2020年10月に暫定予算措置の一部として署名された法案を実施するものです。この規則は間もなく連邦官報に掲載され、規則に詳述されているスケジュールに従って発効される予定です。
最終規則の全内容はまだ不明であり、連邦官報に掲載されるまで機密扱いとなりますが、2020年10月の法案に詳述されたプレミアム・プロセッシングのケースタイプ、手数料、審査期間を反映した規則となる見込みです。 また、USCISは、新たに対象となるカテゴリーに対するプレミアム・プロセッシングを一度に実施するのではなく、数ヶ月以上かけて段階的に実施することが予想されます。
背景
プレミアム・プロセッシングの拡大は、2020年10月1日に署名されたEmergency Stopgap USCIS Stabilization Actに含まれています。 この法律は、USCISがプレミアム・プロセッシングの恒久的な拡大を実施し、追加の移民ビザ申請と請願申請を含むことを許可しました。現在、大幅な審査遅延に直面している雇用許可申請(フォームI-765)とH-1B、L-1、その他の主要な非移民の扶養家族の在留資格の延長・変更申請(フォームI-539)がこのリストに含まれました。2021年2月、USCISはプレミアムサービスをE-3請願申請にも拡大しましたが、それ以降他の案件タイプへの拡大には着手していません。
2020年10月の法律では、USCISのプレミアム・プロセッシングの停止も制限され、必要な期間内に「相当数」の特急審査の要請を完了できない場合にのみ停止が許可されます。さらに、USCISは、請願者および申請者に対し、特急審査対象申請の審査状況に関する情報への「直接かつ確実な」アクセス、およびUSCISサービスセンターのプレミアム処理部門と交信できるようにすることを求めています。
プレミアム・プロセッシング・サービスの拡大
現在、プレミアム・プロセッシングは、Form I-129に基づくある特定の非移民労働者請願申請とForm I-140に基づく特定の移民労働者請願申請に限定されており、15日間の裁決期間が設けられています。
2020年10月の法案で定められた改定後の申請料金と審査期間は、次の通りです。
案件のタイプ |
審査期間 |
申請手数料 |
移民ビザ申請(主な雇用ベース第1,第2、及び第3優先枠のForm I-140申請)― 既に導入済み |
15歴日(現状) |
$2500 |
· 国際企業の管理職者枠に基づく、第1優先枠の移民ビザ申請 · 国益に基づく、労働証明免除枠に基づく、第2優先枠の移民ビザ申請 · 医師を対象にした、第2優先枠の移民ビザ申請 |
45日 |
$2500以下 |
主な就労ビザ申請(Form I-129)―既に導入済み |
15暦日(現状) |
$2500 |
学生ビザ(Fビザ、Jビザ、Mビザ)への移行申請(Form I-539) |
30日 |
$1750以下 |
Eビザ、Hビザ、Lビザ、Oビザ、PビザそしてRビザの帯同家族の延長・在留資格変更申請(Form I-539) |
30日 |
$1750以下 |
労働許可証の申請(Form I-765) |
30日 |
$1500以下 |
次のステップ
この規則は間もなく連邦官報に掲載される予定です。発行の直前には、規則の事前コピーが公開されるはずで、そこにはサービス拡大に関する詳細が明記される予定です。
今回の規則が意味すること
現時点では、プレミアム・プロセッシング・プログラムに直ちに変更が生じることはありません。既に導入済みの特定のI-129およびI-140請願に対する現行のプレミアム・プログラム・サービスは、引き続き利用可能です。
但し、プレミアム・プロセッシングの全面的な導入は、恐らく数ヶ月あるいはそれ以上の時間をかけてゆっくりと段階的に行われることになるであろう点は留意してください。