2022年1月 アメリカ移民法ダイジェスト
February 1, 2022
米国 移民局は追加証拠要請、却下意図の通知(Notice of Intent to Deny)、上訴、その他の移民局に対する回答・対応の期限を延長するポリシーの適用期間を、2022年3月26日発行分まで延長すると共に、既存の方針内容を一部変更しました
概要
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- COVID-19に伴う緊急事態が続いているため、移民局は回答期限延長ポリシーの適用期間を、2022年3月26日発行分まで延長します。
- 2020年3月1日から2022年3月26日の間に出された証拠提出の要請(Request for Evidence)、却下または取り消しの意思通知(Notice of Intent to Deny or Revoke)、EB-5地域投資センターの終了の意思通知、その他の特定の通知に対して、今後も請願者および申請者は回答期限が60日間延長されます。
- また、移民局の却下判断に対し再審議を要請したり上訴する場合、また審問動議を提出する場合は、対象となる移民局の判断が2021年11月1日から2022年3月26日の間に出されている場合は、要請を出すための期間を暫定的に90日としました。これまでは、60日となっていました。
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詳細
COVID-19への対応が続く中、米国移民局は、同局が発行する様々な要請への対応期限を延長する方針を、2022年3月26日までさらに延長し、一部に関しては方針の変更を行っています。COVID-19パンデミックの悪影響を最小限に抑える手段として2020年3月に導入されたこの便宜措置は、当初2020年9月に終了する予定でしたが、これまで数回延長されてきました。今回の延長では、方針を若干見直しています。
今回新たに延長された方針では、対応期限を60日間延長する便宜方針は、下記の通知へ対応したり要請を提出する場合に引き続き適用されます。
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- 追加証拠提出要請書(RFE)
- 拒否の意図の通知(NOID)。
- 取り消しまたは取り消しの意思通知(NOIR)。
- EB-5 地域投資センター終了の意思通知(NOIT)。
- 証拠請求の継続(Continuations to Request Evidence – N-14)、および
- 規則8 CFR 335.5に基づく、帰化申請手続き審査再開の動議、許可後の不利益情報の受領について
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2020年3月1日から2022年3月26日の間に上記の通知または決定を受けた申請者および請願者は、移民局へ回答を提出するために移民局が設定した期限がさらに60暦日延長されます。
ただし、移民局は下記の手続きについては、回答期限延長の便宜策の内容を修正しています。
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- Form I-290Bを使用する再審議要請や審問動議の申し立て、および
- Form N-336, Request for a Hearing on a Decision in Naturalization (Under INA Section 336) (帰化決定に関する審問の要請)
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2021年11月1日から2022年3月26日までに下された移民局の判断に対し上記の手続きを行う場合は、判断決定日から90暦日(これまでは60日、COVID前の規則では30日)内に所定のフォームの提出を認めることになります。
雇用主および申請対象の社員への影響
この期限延長により、企業活動が一時的に中断したり、社員がリモート勤務を続けている間、雇用主や外国人が移民局からの問い合わせや判断に対応するプレッシャーが引き続き緩和されることが期待されています。
尚、この便宜措置は、滞在期間延長や雇用許可申請には影響しない点はご注意ください。これらの申請は、引き続き期限失効日迄に移民局が受理している必要があります。
米国 国務省は、非移民ビザ申請における面接免除の方針を2022年一杯まで拡大・延長します
概略
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- 国務省は、幾つかの非移民ビザのカテゴリーを対象に、2022年12月31日まで非移民ビザの面接を免除するできる権限を世界各国にある米国大使館へ付与しました。この権限は、H-1、H-3、H-4、L、O、P、Qの各種ビザの申請者で、特に個人の非移民ビザの請願書に基づいて申請する者に適用されます。
- 特定のF、M、就学を目的としたJビザに対する面接免除を許可する既存のポリシーも、2022年12月31日まで延長されます。
- また、国務省は米国大使館に対し、以前のビザが48カ月以内に失効している場合、同じ種類のビザを再申請する限りにおいて、あらゆる分類の非移民ビザであっても申請者の引き続き面接を免除する無期限の権限を与えました。
- これらの面接免除政策を実施するか否かは各米国大使館・領事館の判断であり、必ずしも実施する必要はありませんが、現地の状況やリソースが許す限り実施することができます。実施状況は各大使館・領事館によって異なります。
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着眼点
国務省は、国土安全保障省と協議の上、非移民ビザ申請における面接免除プログラムを2022年12月31日まで拡大・延長しました。面接免除の判断は各米国領事館の裁量に委ねられており、新しい方針を必ず実施しなければならない訳では有りません。米国領事館のウェブサイトをご確認いただき、特定の領事館が面接免除プログラムを実施しているかどうか、またどの程度実施しているかについてご確認ください。
従来の非移民面接免除の方針は、2021年12月31日に期限切れになる予定でした。 この方針を通じ領事は、同じ種類のあらゆる分類の非移民ビザの申請者でも、48ヶ月以内にビザが失効している場合は、面接を免除することができるようになりました。COVID以前の一般的な方針では、非移民ビザが12カ月以内に失効する申請者のみが面接免除の対象でした。2021年9月に国務省は、特定のF、M、そして就学目的のJビザ申請者向けの面接免除政策も別途実施し、こちらも今回改訂・延長されました。
詳細
国務省の新しい面接免除方針では、48ヶ月以内にビザが失効しており、同じ分類のあらゆる種類の非移民ビザの申請者に対して、対面での面接を免除することができます。この権限に期限はなく、現在大使館・領事館は無期限に行使ができます。
2022年12月31日まで、個人請願ベースのH-1、H-3、H-4、L、O、P、Qビザ申請者、およびF、M、就学目的のJビザ申請者が面接免除の恩恵を受けるには、次の条件を満たす必要があります。
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- 外国籍の方は、母国または居住国において申請する必要があります。
- 外国籍の方は、以下のいずれかの基準を全て満たす必要があります。
- 過去に、何らかのビザを発行されたことがあること - 過去に何らかのビザを発給されたことのある申請者は、以下の条件を満たすことができます。
- ビザを拒否されたことがない。但し、一旦拒否されたが後に拒否判断が覆ったり免除された場合は別
- ビザを取得するための明らかな不適格者または潜在的不適格者でない。
- 初回申請者 ― ビザ免除プログラム(VWP)に参加している国の市民または国民で、初めてビザを申請する者。但し、
- ビザを取得するための明らかな不適格者または潜在的不適格者でないこと
- 過去にESTAを利用してVWPで渡米したことがあること
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特定のH-2ビザ申請者に対する面接免除に関するこれまでの権限も、2022年12月31日まで延長されます。
いずれの場合でも、領事館が面接免除プログラムを実施し、申請者が上記の要件を満たしていても、領事はビザ申請書を審査した後に面接が必要と判断する場合があります。申請者の方は、ビザ申請計画に柔軟性を持たせてください。
この方針が意味するところ
米国領事館は、新しい面接免除の方針を実施することを義務づけられていないため、実際の実施状況は、各地域の領事館に依り異なる可能性があります。申請者は、米国大使館または領事館のウェブサイトで、現在利用可能なサービス、申請資格、面接なしのビザ申請に関する詳細情報をご確認ください。
その他の渡航に関する注意事項
面接の有無にかかわらず、ビザ申請のために海外渡航を検討する場合、申請者は既存のCOVID関連の制限と要件に注意する必要があります。アフリカ南部の特定の国を対象とした入国禁止大統領令は2021年12月末で解除されましたが、国際線での入国者向けの規則は引き続き適用されます。アメリカ政府は、 すべての国際線航空機旅行者に出発1日前のCOVID検査が義務付けられ、米国に渡航するほとんどの非移民にはCOVIDワクチン接種が義務付けられています。
ビザ申請予定者は、COVIDの流行に対応して政策や規則が急に変更される可能性があることを踏まえ、渡航先の国が課す要件や制限を常に確認する必要があります。コロナウイルスが世界の移民関連事項に与える影響に関する最新情報については、当事務所のCOVID-19ウェブサイトをご覧ください。
国土安全保障省は、H-1B発給枠申請に伴う選択方法を、賃金水準を基にした選択方法に変更する規制を撤回
概略:
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- 国土安全保障省(DHS)は、H-1Bビザ発給枠対象申請への応募者の選択方法を、現在の抽選に代わり、申請対象者の賃金水準に基づく選考プロセスを導入するとしていた最終規制を、撤回することになりました。
- この規制は、2021年9月にカリフォルニア州の連邦地裁によって取り消され、DHSはその判決に不服はないとしています。また、同規制を争う別の連邦地裁の訴訟の弁護も打ち切られる見通しです。
- H-1Bビザ申請の現行の抽選制度は当面継続されますが、賃金レベルに基づきH-1Bビザを割り当てる規則は、DHSの長期的な規制案のアジェンダに残されています。この規則は優先順位が下げられていますが、賃金レベルを選択割当を課す新たな提案を排除することはできません。
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内容
国土安全保障省(DHS)は、H-1Bビザ発給枠対象申請を選ぶ際に行われている現行の抽選制度に代わり、賃金レベル別の優先順位に従って年間H-1B枠を割り当てる制度とする最終規制を撤回することになりました。この取り下げは、昨年12月22日に官報に掲載され、‘同規則を無効とした裁判所命令が実施しされることになりました。
この割当方法の下では、労働省の職業別雇用統計(OES)の4段階の賃金体系に従って年間上限を割り当てることになっていました。そのため、H-1Bビザ申請の選考プロセスでは、提示された給与がその職業と地域の最高賃金レベルに該当するH-1Bビザ申請者が最優先されることになっていました。
背景
H-1Bビザの配分規制は、トランプ政権の優先事項であり、当初は2021年3月9日に施行される予定でした。その後、バイデン政権の規制凍結を受け、国土安全保障省が発効日を2021年12月31日に延期しました。
2021年9月、カリフォルニア州連邦地裁は、同省がH-1Bビザの選択規則を公布した時点で、当時のDHS長官代理チャド・ウルフ氏が議会を通じ正式承認を受けていない代理という地位であったこと理由に合法的に職務を務めていなかったとして、H-1B賃金配分規則を無効としました。今回の政府発表を受け、この無効命令が実行されることになります。この訴訟は、米国商工会議所他 対 国土安全保障省、Case No.4:20-cv-07331 (N.D. Cal. March 19, 2021)です。
H-1B賃金選択規制は、別の連邦地裁の裁判、Humane Society of America v. Mayorkas, Case No.1:21-cv-01349 (D.D.C., May 17, 2021)でも争われています。しかし、最近同裁判所へ提出された書類によれば、DHSはその訴訟で和解合意に至る意向を示しており、訴訟に終止符を打つことになります。
今回の判断が意味するところは
H-1B発給枠対象の申請を選ぶ現在の抽選システムは、当面継続される見込みです。しかし、ここ数週間でDHSが発表した2021年秋の規制アジェンダには、この賃金レベルに基づく選択方法が「長期的な規制案」リストに含まれています。これは、このルールが優先順位を下げられたものの、長期的に見れば除外することはできないということです。 DHSの主な規制アジェンダには、雇用者と被雇用者の関係の再定義やビザ取得者の勤務先訪問調査に関する規則の制定など、短期的にH-1Bプログラムに影響を与える可能性のある規則が含まれています。今後数ヶ月以内に、主要なアジェンダに含まれる規則が提案として発表される可能性があります。
国土安全保障省、今後数ヶ月の規制計画を発表
概要
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- 国土安全保障省(DHS)は、雇用者と被雇用者の関係の再定義、長年にわたり検討されてきたビザ保持者の勤務先訪問調査に関する規則、変更・修正申請要件の明確化など、H-1Bプログラムの一部を修正する規則案の導入を引き続き検討しています。また、DHSは、特定のH-1BおよびL-1雇用主に課される国境警備手数料の拡大を計画しています。
- 現在、行政管理予算局で検討されている近日発表予定のDHSの規則案は、移民局の特急審査(プレミアム・プロセッシング・プログラム)の対象を拡大する案を実施する予定です。
- 労働省は、H-1BやPERMプログラムなどの相場賃金の引き上げを提案する予定です。
- 国務省は、B-1 in lieu of H-1B (H-1Bの代わりのB-1)という特殊なB-1ビザを使用できなくする規則を、近日中に制定する予定です。
- 米国移民税関捜査局は、フォームI-9の確認プロセスにおいて、身分証明書や就労許可書の実物確認に代わる別の確認方法を許可する規則案を発表する予定です。
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内容
国土安全保障省、労働省、国務省が新たに発表した今後の新しい規制案には、各機関の規則策定の優先順位と今後数ヶ月のスケジュールが記されています。
以下は、各省庁のアジェンダの中で、雇用に基づく移民法に関する主要項目の要約です。提案された規則と最終規則の詳細は、各規則が公表されるまでは機密事項です。各政府機関は、その規制案の公表予定日を設けていますが、この予定日が必ずしも守られるとは限りません。
H-1Bプログラムの近代化
国土安全保障省は、H-1Bに関する一部ルールを修正するための新しい規則案を引き続き検討しています。この規則は、H-1Bビザの雇用者と被雇用者の関係を再定義し、長年行われてきたFDNS(Fraud Detection and National Security)訪問プログラムの規則を制定し、H-1Bへのステータス変更を待つF-1学生に対するキャップギャップ特典をさらに明確にすることを意図したものです。また、H-1Bビザ社員の雇用に重大な変更があった場合、請願書の訂正が必要になることを明確にし、H-1Bビザ社員が新しい勤務地へ移る際に必要となる移民局への変更申請を合理化することも意図しています。この規則案は、当初2021年12月に公表される予定でしたが、2022年5月に再延期されました。
さらに、DHSはH-1Bビザ社員へ支払われる労働省の賃金統計の額に応じて発給枠対象のH-1Bビザを割り当て、最も高い賃金率である賃金統計の賃金レベル4に相当する給与額を受け取る社員を優先するという規制の導入を延期しています。トランプ政権時代に検討され始めたこの規制は、今年初めにある連邦裁判所によって無効とされ、同規制に対する2度目の訴訟が続いていますが、バイデン政権はこの規制の弁護をやめ、和解するとみられています。ただし、将来的に発給枠対象のH-1Bビザの配分方法を変更する案が出る可能性は否定できません。
特定のH-1BおよびL-1申請に対する国境警備手数料の拡大
DHSは、4,000ドル/4,500ドルの国境警備手数料(Border Security Fee)の支払い対象を、50人以上の米国人従業員を抱え、そのうち50%以上がH-1BまたはL-1ビザを持つ雇用主が申請するH-1BおよびL-1の延長申請にも拡大する規則案を計画しています。現在、この手数料の対象となる雇用主は、移民局へ提出されるH-1BおよびL-1の初回申請および雇用主変更申請、また米国領事館でのブランケットL申請に対して手数料を支払う必要があります。この規則案は、2022年5月に公表される予定です。
移民局はプレミアムプロセシングプログラムの対象拡大を検討
国土安全保障省は、EB-1多国籍マネージャーやエグゼクティブ、EB-2医師を含む労働許可証明書の国家利益免除を求める人のための移民ビザ請願申請、Form I-765による雇用許可申請、Form I-539によるH-1B、L-1、その他の主要非移民カテゴリーの扶養家族のステータス変更または延長申請など、多くの雇用ベースの申請に対しプレミアムサービスを拡大する権限を移民局に与える法案を履行すべく最終規則を予定しています。最終規則は、2021年9月から延期され、今月中に発行される予定です。
相場賃金の引き上げ
今回の規制アジェンダでは、労働省がH-1B、H-1B1、E-3、PERMプログラムの相場賃金率を引き上げる規則を進める方針を再発表しています。最終的な賃金規則は2022年11月14日に発効する予定でしたが、6月に連邦裁判所が労働省の同意を得て、トランプ政権時代の規則を取り消しました。予想通り、DOLは昨春に実施した一般からの意見公募期間中に寄せられた意見を考慮し、新たな相場賃金規則を公布することになりました。新しい規制案の公布は、2022年3月の予定です。
Form I-9の書類検査について
米国移民税関捜査局(ICE)は、Form I-9雇用資格確認プロセスにおける身分証明書および雇用許可書の対面検査に代わる代替案を規定する規制案を計画しています。具体的な代替案はまだ不明ですが、COVID-19の流行で一時的に実施されたような遠隔による書類検査方法も含まれる可能性があります。この規制案は、2022年6月に公表される予定です。
移民局と国務省が申請手数料の値上げ
移民局は、申請の提出手数料を引き上げるための規則案を公表する見込みです。この値上げ案は、2020年末に連邦裁判所から差し止められたトランプ政権時代の料金規定に代わるものとなる予定です。
同様に、国務省は、非移民ビザ申請手数料とJ-1ホームレジデント要件の免除のための手数料の変更を計画しています。
移民局の提案は2022年3月に、国務省の提案は2022年1月に公表される予定です。
Hに代わるB-1ビザの廃止について
国務省は、H-1BおよびH-3ビザの代わりのB-1ビザ(B-1 in lieu of H-1B 及びB-1 in lieu of H-3)の使用を廃止する規則を引き続き検討しています。トランプ政権により2020年末に提案として公表されたこの規則は、今年早々に最終的に公表される予定です。バイデン政権の国務省は、トランプ政権が意図していたBビザ申請資格の全体的な見直しは行わないことを既に決定しています。
今後の展開:規制のタイムライン
規制アジェンダは、バイデン政権の今後数カ月間の各省庁の優先順位を示すものです。ほとんどの規制は、まず提案の形で発表され、30日から60日の意見公募期間が設けられます。公募期間終了後、寄せられた様々な意見が検討され、その後行政管理予算局による最終審査をクリアして初めて実施されるのが通常の手順です。通常の規則制定プロセスは、少なくとも数ヶ月を要します。暫定的、一時的な最終規則は、状況によってはそれよりも早い迅速な方法で実施されることもあります。
連邦政府は、特急審査サービス(プレミアム・プロセッシング・プログラム)の対象となる申請を拡大する規制を検討中
概要
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- プレミアム・プロセッシング(特急審査)の対象申請を拡大する米国移民局の最終規則が行政管理予算局に提出され、公開と実施に近づきました。
- この規則は、雇用許可申請(Form I-765)および特定の扶養家族の非移民資格変更・滞在延長申請(Form I-539)を含む特急審査サービスの拡大を移民局に対し指示した、2020年10月の議会の法案を実施するものです。
- 最終規則の具体的な内容(特急審査の対象となる申請の種類、審査期間、申請料金や実施日など)は、まだ明らかになっていません。
- 行政管理予算局がこの規則を承認した後、連邦官報に掲載され、規則の条項に従って発効することになります。施行までのスケジュールは、数ヶ月に及ぶ可能性があります。
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内容
米国移民局は、同局の特急審査サービスの対象となる申請対象を広げる最終規則を、連邦政府審査に提出しました。この規則は現在、行政管理予算局(OMB)で審査中であり、公表と実施に一歩近づいたことになります。 この規則は、昨年末に暫定予算措置の一環として署名された法案を実施するものです。
最終規則の内容はまだ明らかになっておらず、連邦官報に掲載されるまで機密扱です。官報に掲載されてはじめて、新たに特急審査の対象となる申請の種類と、それぞれに関連する審査時間、申請手数料、実施時期が明らかにされる見込みです。 移民局は、新たに特急審査の対象となるケースについて、一度に実施するのではなく、時期をずらして段階的に実施する可能性があります。
背景
この特急審査サービスの拡大は、2020年10月1日に署名された緊急ストップギャップ移民局安定化法に含まれています。 この法律により、既存の特急審査プログラムの料金が直ちに引き上げられ、1,440ドルから2,500ドルとなりました。 また、この法律により、移民局は特急審査を恒久的に拡大し、追加の移民申請および請願申請を含めることを要求されました。現在、大幅な審査遅延に直面している雇用許可(Employment Authorization Document)申請(Form I-765)とH-1B、L-1、その他の主要な非移民の扶養家族の資格変更・延長申請(Form I-539)がこのリストに含まれました。2021年2月、移民局は特急審査の対象をE-3ビザ申請にも拡大しましたが、それ以降他の案件のタイプへ拡大されていません。
2020年10月の法律では、移民局の特急審査の一時停止も制限され、必要な期間内に「相当数」の特急審査要請を処理できない場合にのみ一時停止が許可されます。更に、移民局は請願者および申請者が、特急審査対象案件の審査状況への「直接かつ確実な」アクセスができるようになり、また移民局内の特急審査審査部門と交信が取れるようにすることを求めています。
特急審査サービスの拡大
現在、特急審査は、特定のForm I-129非移民ビザ請願申請と特定のForm I-140移民ビザ請願申請に限定されており、15日間の審査期間が設けられています。
2020年10月の法案で定められた改定後の料金表と審査期間は、次の通りです。但し、移民局がこの通り実施を決めるかはわかりません。
案件のタイプ |
審査期間 |
特急審査費用 |
殆どのForm I-140移民ビザ請願申請 |
15暦日(現状) |
$2,500 |
Form I-140多国籍企業のエクゼクティブ・マネージャー |
45日 |
$2500を超えないこと |
I-140移民ビザ国益免除申請 |
45日 |
$2500を超えないこと |
Form I-129非移民ビザ請願申請 |
15暦日(現状) |
$2500 |
F、J、Mビザへの資格変更または延長申請 |
30日 |
$1750以下 |
E、H、L、O、P、Rビザの扶養家族への資格変更または延長申請 |
30日 |
$1750以下 |
I-765労働許可申請 |
30日 |
$1500以下 |
次のステップ
連邦の政府機関である経営予算局(Office of Management and Budget - OMB )は、移民局の規則を審査するために90日間の猶予を与えられていますが、状況によってはより短い期間またはより長い期間を要する可能性があります。OMBの許可を得た後、規則は連邦官報に掲載されます。発行の直前には、規則の事前コピーが公開されるはずで、そこには拡大内容の詳細が明記されます。
この規則の意味
現時点では、特急審査サービスに直ちに変更が生じることはありません。特定のI-129およびI-140請願に対する既存の特急審査サービスは、引き続き利用可能です。
移民税関捜査局(Immigration and Custom Enforcement – ICE)は、COVID 19対応に伴うForm I-9遵守のための暫定的な柔軟措置を2022年4月30日まで延長
概要
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- 現在も続くCOVID-19緊急事態により、米国移民税関捜査局はI-9書類検査方針に柔軟性をもたせる現在の暫定対応を2022年4月30日まで延長します。
- 暫定ポリシーが終了するまで、またはCOVID-19緊急事態が終了した3日後のどちらか早い方まで、要件を満たす雇用主はI-9の手続きの際、身分証明書および雇用許可書の原本を確認することが免除されます。
- 2021年4月1日以降に入社した従業員で、オリジナルの書類の確認なくI-9手続きを完了した者は、『定期的、一貫して、または予測可能なベースでリモート勤務を終えた時点で、実物書類を直接確認する必要がある 』とされています。
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詳細
米国移民税関捜査局(ICE)は、I-9プロセスにおいて新入社員が提示する書類の原本を実際に確認する通常の要件を緩和する方針を、2022年4月30日まで延長しました。これにより、特定の要件を満たす雇用者は、COVID-19に伴う緊急事態が続く中、引き続き遠隔でI-9確認を実施することができます。この方針は、21年12月31日に期限切れとなる予定であった。
この柔軟なI-9方針を選択した雇用主は、Form I-9のセクション2に記載する書類を確認する際は、ビデオ、ファックス、Eメールで確認することができ、その書類のコピーを保持しなければなりません。Form I-9を完成させるまでの通常の期間は引き続き変更はなく、Form I-9のセクション1は従業員の入社日までに、セクション2は入社日から3営業日以内に完了させなければなりません。この緩和された手続きを利用する雇用主は、各従業員の遠隔による入社手続きとテレワークのポリシーを文書化したものを保管する必要もあります。
2021年4月1日以降に採用された従業員に対するI-9の暫定的ポリシー
暫定I-9ポリシーの下では、(1)2021年4月1日以降に採用され、(2)COVID-19対策として完全にリモートで勤務する従業員に対しては、たとえ雇用主の一部社員の中にはオフィスへ出勤して非リモートで働く従業員がいたとしても、遠隔でForm I-9の手続きができるようにしました。しかし、そのような雇用主は、 "定期的、一貫した、または予測可能なベース "(regular, consistent or predictable basis)でオフィスへ出勤して就労する状態になった社員に対しては、通常のI-9手続きを行うことが義務付けられています。
2021年4月1日以降、対象となる新入社員のI-9手続きを実物書類の確認をせずに行っている場合、雇用主は(1)従業員が定期的、一貫的、または予測可能なベースで出勤での勤務を開始してから3日後、または(2)COVID-19緊急事態が終了またはICEが遠隔によるI-9手続きを許可する暫定方針を終了してから3日以内のいずれか早い方の日に、従業員のI-9書類を直接検査しなければならなくなります。
雇用主は自らの裁量で、この暫定方針の対象となっている従業員の書類の物理的な検査を、この期間より早く開始することができます。その際に雇用主は、このような検査方法を従業員全体に一貫した差別のない方法で実施することを保証する必要があります。
雇用主への配慮
雇用主は、雇用主に代わってI-9の手続きを行う第三者エージェントの利用を含め、標準的なForm I-9の手続きを継続することができます。遠隔で実物書類の確認なくI-9手続きを許可するこの暫定方針を採用するか、または今後も継続するかを検討している雇用主は、以下の点を考慮する必要があるでしょう。
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- 政府が暫定的に導入している柔軟性のあるI-9手続きを利用することで、反って煩雑になる可能性があります。雇用主は、新入社員や転職者に対して遠隔でのI-9手続きを行うのではなく、雇用主に代わって第三者機関を利用して従業員の就労許可書類を検査し、フォームI-9を記入する標準的なI-9手続きを使用する、またはそれを再開する方が混乱が少ないかもしれません。
- 暫定的なI-9方針を利用する雇用主は、通常業務再開後、遅くとも3日以内に該当する従業員の書類を物理的に検査する必要があります。つまり、雇用主が多数の従業員の書類を検査できる期間は、非常に限られた期間です。
- もし、御社が遠隔でのI-9手続きを使用していた、または使用している場合は、影響を受ける従業員の書類の物理的な検査をICEの定める期限よりも早く開始することを検討するべきでしょう。もし、御社がこの方法を採用する場合は、一貫して差別のない方法で実施しなければなりません。
- 政府が継続している暫定的なI-9施策とその拡大は、COVID-19の緊急事態において雇用主にとっては歓迎すべき施策ですが、その一方で雇用者は政府機関がこのポリシーをどのように施行するかが不明確であることに注意する必要があります。特に、I-9手続きの調査を担当する政府機関のImmigration and Custom Enforcement (ICE)は、 "完全なリモートワーク "や "定期的、一貫した、または予測可能な "非リモートワークの定義をしていません。従って、暫定施策を利用する雇用主は、I-9手続きの管理上の利便性とI-9検査の際の罰金やその他の罰則の可能性のリスクを比較検討する必要があります。
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2020年3月20日以降のI-9手続きに関する追加ガイダンスについて
COVID 19下でのI-9手続きの便宜方針を最初に発表した2020年3月20日当時、ICEはCOVID-19に関連するフォームI-9の記入時における、就労許可書類の実物確認義務への雇用者側のコンプライアンスについては、ケースバイケースで評価すると述べています。今回の発表で、ICEはケースバイケースの状況(例えば、対象となる従業員が既に辞めている場合など)において、雇用主が上記のように2020年3月20日以降に雇われた従業員のForm I-9用の資料を規定された期間内に検査し確認できなかった可能性があることは認めています。このような場合、ICEは雇用主がその理由をメモに記録し、対象となる各従業員のI-9フォームと一緒に保管するようアドバイスしています。これらの理由は、ICEがForm I-9の監査をする際に、ケースバイケースで審査されることになります。
企業のI-9手続きコンプライアンスに関する、ICEの規制計画
最近発表された当面の規制案の計画の中で、ICE はForm I-9手続きにおける社員の身分証明 および雇用許可書類の対面確認に代わる、代替の確認手段を提供する規制案の計画を検討していることがわかっています。新しい規則に含まれる可能性のある具体的な代替案はまだわかりませんが、COVID-19 の流行により一時的に実施されているものと同様の遠隔検査の形態を含む可能性があります。規制案は2022年6月に公表される予定ですが、各省庁は公表予定日を迂回することが日常的になっています。
ホワイトハウスは、STEM OPTプログラムの拡大など、STEM人材誘致の取り組みを発表
概要
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- F-1 STEM optional practical training(OPT)の延長が、経済学とコンピュータサイエンス、数理経済学、データサイエンス、データ・ビジネス・金融分析など、新たに22の学位分野に拡大されることになります。
- J-1ビザを持つSTEM分野専攻の学生は、従来の18カ月のOPT から最大36カ月のOPTを受けることができるようになります。
- 移民局の新しい指針では、STEM分野の労働者のextraordinary ability nonimmigrant枠でのO-1Aビザ申請資格と、グリーンカード申請におけるNational Interest Waiver (NIW)枠での申請資格の審査要件について説明をしています。また、この新しいガイダンスは、起業家のNIW枠でのグリーンカード申請資格についても明確にしています。
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注目点
1月21日、ホワイトハウスは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)(略称、STEM)の分野で働く外国人を米国に引き付け、そして引き止めるための政策の拡張と明確化を発表しました。この新しい政策は、STEM 分野の F-1 および J-1 学生、ならびに O-1 非移民ビザおよび NIW (National Interest Waiver) 枠での永住権を求める STEM 専攻の外国人に適用されます。
F-1 STEM OPT プログラムが新分野に拡大
STEM分野を専攻したF-1ビザ学生のOptional Practical Training(OPT) を特別に最長24ヶ月まで延長するF-1 STEM OPT延長プログラムは、新たに22の学位分野を含むように拡大される予定です。新しい手続きにより、関係者は他の学位分野をSTEM OPTプログラムに含めるか削除するかを推薦することができます。
新たに指定された学位分野は、バイオエネルギー、林業、森林資源生産・管理、人間中心技術設計(Human Centered Technology Design)、クラウドコンピューティング、人類動物学(Anthrozoology)、気候科学、地球システム科学、経済学とコンピューター科学、環境地球科学、地球生物学、地理環境研究、数理経済学、数学と大気・海洋科学、データ科学、データ解析、ビジネス解析、データ可視化、財務解析、データ解析、その他、産業・組織心理学、社会科学、研究手法と定量方法学などです。これらの分野は、国土安全保障省が指定するSTEM学位の全リストに追加されました。この新しい分野を発表する連邦官報が発行され、1月21日から適用されます。
STEM専攻学生のO-1ビザ申請およびNIW枠での永住権申請に関する新しい指針
移民局の新しい指針によれば、STEM分野の博士号取得者のO-1Aビザ申請資格について述べ、STEM分野で働く外国人の同ビザ申請審査に際し、証拠基準をどのように適用するべきかを説明しています。 この指針は、STEM分野で働く外国人に対し、H-1Bビザ以外の就労ビザの選択肢があることを強調することを意図しています。
また、新しい方針は、雇用に基づく永住権申請を希望する外国人が、米国の国益のためになる仕事へのジョブオファーに基づき、労働証明申請が裁量的に免除されるNIW枠での申請資格があるかどうかを判断する際の指針を、移民局審査官へ提示しています。この新政策は、起業家を含め、米国に利益をもたらす活動をするSTEM分野専攻の外国人が、国益免除枠(NIW 枠)でのグリーンカード申請をより広く利用できるようにすることを意図しています。
STEM分野のJ-1ビザ保持者への取り組み
国務省の新しいガイダンスにより、STEM分野のJ-1学部生および博士号取得前(Pre-doctoral)の学生(および最近その研究を終了した者)は、従来の18カ月ではなく、最大36カ月までの任意の実務研修許可を取得できるようになります。 この新しい取り組みは、学術研修の要件を満たすJ-1ビザの交換留学生を対象に、2021-2022年度および2022-2023年度の間実施されます。J-1交換プログラムのスポンサーは、STEM関連の学業終了後30日以内に学業研修を開始しようとする有資格の学生および新卒者に対して、最大36カ月間のSTEM関連分野での学業研修を要請申請を政府へ行うことができます。国務省はまた、「Early Career STEM Research Initiative」を立ち上げ、米国に来るJ-1交換留学生が、企業を含む受け入れ組織との研究、研修、教育交流訪問者プログラムを通じて、STEM研究に従事することを促進する予定です。
今回の指針が与える、雇用者と外国人への影響
ホワイトハウスの構想は、STEM教育を受けた米国留学生の卒業後の就職の選択肢を広げるとともに、STEM教育を受けた外国人の非移民ビザ・永住権取得への道を明確化し広げるものです。 これらのイニシアチブは、STEM関連の就労・永住権申請の審査においてより予測可能性を高める可能性がありますが、審査官が実際にどのように新しいポリシーを適用するかによって大きく左右されるでしょう。当事務所では、新政策の下での就労ビザ・永住権申請の審査結果を注意深く追い、傾向が明らかになり次第、最新情報を提供する予定です。
1月22日より、カナダまたはメキシコから陸路またはフェリーで米国へ入国する非米国人旅行者に、コロナウイルスのワクチン接種が義務付け
概要
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- 2022年1月22日より、国土安全保障省(DHS)は、カナダまたはメキシコからあらゆる目的(仕事、ビジネス、教育などの「必須」活動を含む)で陸路またはフェリーで米国に入国しようとする米国人・永住者以外の個人に対し、COVID-19の完全予防接種証明の提出を義務付ける予定です。
- 米国市民と米国永住権保持者は、ワクチン接種義務の対象ではありません。
- 18歳未満の子供や医学的禁忌のある人などは、ワクチン接種義務の例外となります。
- ワクチン接種義務は、現在2022年4月21日に失効する予定ですが、延長される可能性が高いと思われます。
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注目点
2022年1月22日より、国土安全保障省(DHS)は、米国とメキシコ、米国とカナダの国境を陸路またはフェリーで米国に入国しようとする米国以外の旅行者に、COVID-19の完全接種と接種証明の提出を義務付ける予定です。この新規則は2022年1月24日に連邦官報に掲載されました。
米国市民や米国永住権保持者は「米国人」とみなされるため、この新しい要件は適用されません。 それ以外の人については、延長されない限り、2022年4月21日まで制限が継続されます。2020年3月のCOVID緊急事態の開始以来、何らかの形で陸路での越境規制が継続的に延長されています。
新たな陸路国境でのワクチン接種義務の対象者
新しいワクチン規制は、雇用目的の就労ビザやビザ免除プログラムによる「必須」の目的で旅行する人を含め、陸路国境またはフェリーで旅行する非米国人に適用されます。 必須目的の旅行には、教育機関への通学、公衆衛生や緊急事態への対応、国境を越えた貿易のための旅行も含まれます。ワクチン接種は、2021年11月8日以降、「非本質的」(観光または個人旅行)な目的で陸路でアメリカへ入国する旅行者に対して、すでに義務付けられています
陸路国境でのワクチン接種が免除される人
陸路またはフェリーのCOVIDワクチン要件は、以下の非米国人グループには例外が適用されます。
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- 18歳未満の子供
- COVID-19ワクチンの接種に医学的禁忌がある人。
- 有効な非移民ビザ(B-1またはB-2ビザを除く)を持つ個人で、CDCが指定するように、COVID-19ワクチンの入手が制限されている国の国民である者。
- 外交官または外国政府の公式旅行中の特定の個人。
- 特定のCOVID-19ワクチンの臨床試験に参加する特定の人。
- 国土安全保障省長官から人道的または緊急の例外として発行された個人。
- CDCの命令で指定された米軍メンバー、その配偶者、子供(18歳未満);および
- 国土安全保障省長官の決定により、入国が米国の国益に適うと判断された個人
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これらの例外は、2021年11月初旬から実施されている国際航空便でアメリカ入国する外国人へ適用されているワクチン接種要件とほぼ同じものです。各特例に該当する方法の詳細は、米国疾病管理予防センター(CDC)のウェブサイトに記載されています。
ワクチン接種要件の実施について
一般的に、米国民以外の必須渡航者に対するCOVIDワクチン要件の実施は、2021年11月8日以降、非必須渡航者に対して実施されている方針とほぼ同じになります。陸路で入国する旅行者は、国境でワクチン接種の証明を提出するだけでなく、ワクチン接種の状況を口頭で証明することが必要になります。接種可能なワクチンと接種証明、および「完全接種」の定義は、海外渡航に関する既存のCDCの規則に従います。
尚、COVID-19検査は、陸路またはフェリーでの渡航には必要ありません。
カナダとメキシコの国境を越える業務渡航のための新政策の意味するもの
新政策が発効すると、H、L、O、E、Bビザの資格で入国する者を含め、陸路国境やフェリーで仕事やビジネスのために渡米する非移民は、例外に該当しない限り、米国入国の際にCOVIDワクチンの完全接種証明の提示が義務付けられます。