2024年11月13日 アメリカ移民速報
ホリデーシーズンに向けて、渡航に関する注意事項
November 13, 2024
概要
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- このホリデーシーズンに海外旅行を計画している外国籍の方は、有効期間が十分残っているパスポート、有効な米国ビザ、必要であれば事前の渡航許可書などを含め、すべての必要な書類が揃っていることを旅行前に確認してください。
- 海外滞在中にビザの申請が必要な場合は、ビザの発給が遅れる可能性があることに留意し、スケジュールを立ててください。
- 米国に再入国する際には、空路、陸路どちらも徹底的な入国審査が予想されます。
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- 2025年1月20日の新大統領就任後、即座に渡航制限が強化される可能性があります。外国籍の方は、海外渡航および再入国の計画を立てる際に、上記の渡航制限の可能性を考慮する必要があります。
更に詳しく
このホリデーシーズンに海外旅行を計画されている外国籍の方は、今こそ、米国を出国・再入国するために必要な情報、入国に必要な書類、手順を確認する時です。移民法上の義務、現在の状況、間もなく始まる新大統領政権で予想される変化を理解することで、旅行の遅れやその他のリスクを最小限に抑えることができます。
1.海外旅行者が今すべきこと
この年末年始に海外へ旅行する前に、必ず以下のことを行ってください:
パスポートの有効期限を確認する。一般的に、パスポートの有効期限は、米国への入国後の滞在期間の6ヶ月以上先でなければなりません。これは、滞在期間終了後に米国を出国し、自国または他国へ移動できるようにするためです。なお、この規則には例外もあります。多くの国が米国と協定を結んでおり、その協定ではパスポートの有効期限が実際の有効期限より6ヶ月間延長されたと見做すことで、パスポートを所持している人が自国に戻ることができるようになっています。
パスポートが米国への再入国に際し、有効かどうかご不明な場合は、フラゴメンの担当者にお問い合わせいただくか、こちらをクリックして詳細をご確認ください。
ビザが米国への再入国に有効かどうか確認してください。海外旅行後に米国に戻る場合、パスポートのビザスタンプが現在の非移民ビザのステータスを反映したものであり、ビザの有効期限が切れていないものでなければなりません。またビザに入国回数の制限がある場合には、制限回数内の入国である必要があります。カナダ国籍の方は、E-1またはE-2ビザ保持者でない限り、通常、米国入国に有効なビザは必要ありません。
特定の条件下では、カナダまたはメキシコへの30日以内の短期間の旅行で、有効なI-94到着記録がある場合、以前に発行された有効期限切れのビザのでも再入国できます。ただし、カナダまたはメキシコ滞在中に新しいビザを申請した場合、またはキューバ、イラン、北朝鮮、スーダン、シリアの国民または市民である場合は、米国に再入国するために新しいビザの取得を待たなければなりません。
ビザの要件に関する詳細は、ここをクリックしてください。
永住権申請中の方は、米国を出国する前に渡航の事前許可が必要かどうかを確認してください。米国国内で永住権への資格変更申請中の場合、申請中に米国を出国するには、Advance paroleと呼ばれる渡航許可書を取得する必要がある場合があります。
既に有効なH-1B、H-4、L-1、またはL-2ビザを持っている場合は、事前許可証を取得しなくても、そのビザで米国に再入国することができます。ただし、H-4ステータスのの方で、永住権申請に関連して発行された就労許可書(EAD)に従って米国で就労したことのある人は、渡航時に注意が必要で、出国前に渡航許可書を取得することをお勧めします。
米国内での永住権申請中の方は、海外渡航前にフラゴメンの担当者に連絡し、渡航が申請中のすべての申請やお持ちの非移民ビザに与える影響を確認してください。
米国移民局(USCIS)でステータスの変更または延長を申請中ですか?あなたが非移民ビザ請願書の申請者である場合、Form I-129に基づく非移民ステータスの延長手続きが審査中であっても、海外渡航により、その申請が危険にさらされることはありません。しかし、非移民ステータスでの滞在延長のためのForm I-539に基づく延長申請が審査中の海外旅行は、請願書が却下される可能性があります。I-129またはI-539のいずれかが審査中で、他の非移民カテゴリーへのステータス変更を申請している場合は、その申請が許可されるまで海外渡航は避けるべきです。申請中に米国を出国した場合、移民局はステータス変更申請を放棄したものとみなします。場合によっては、I-129が承認される可能性はありますが、新しいステータスを取得するためには、米国を出国し、新しいビザを取得し、再入国する必要があります。ステータス変更申請中の渡航が避けられない場合は、フラゴメンの担当者にご相談ください。
ビザ免除プログラム(Visa Waiver Program)を利用して米国への出張または観光旅行を計画している場合は、プログラムの要件を遵守していることを確認してください。ビザ免除プログラム(VWP)は、指定された国の国民および市民が、特定の登録およびパスポート要件を満たすことを条件に、90日以内の商用または観光旅行であれば、ビザなしで米国に入国することを認めるものです。VWPを利用して渡航する場合は、米国出発の72時間前までに電子渡航認証システム(ESTA)にて有効な登録申請書を提出する必要があります。VWPパスポートおよびESTAの要件についての詳細は、こちらをご覧ください。
10年間の観光ビザで渡航する中国国籍の方は、電子ビザ更新システム(EVUS)に登録していることを確認してください。未登録の場合は、渡航の72時間前までに必ず登録してください。登録されていない場合、ビザが暫定的に失効し、渡航計画に遅れが生じる可能性があります。EVUSの登録についての詳細はこちら を御覧ください。
2. 米国領事館および入国審査での注意事項
米国領事館でビザ発給が遅れる可能性があることを念頭に予定を立ててください。各地の米国領事館は旅行シーズンが最も混雑します。このホリデーシーズン中に海外で新しいビザを申請する場合は、該当する領事館または大使館での予約手続き、申請手続き、手続きに要する時間に関する具体的な情報を確認してください。
現在保持しているビザが有効でなく、海外の領事館で新しいビザを申請・取得する必要がある場合は、旅行の計画を立てる前にビザの予約を確保するようにしてください。 ホリデーシーズンには、領事館では通常よりも長い予約待ちが発生することが多く、米国への帰国が遅れる可能性があります。米国を出発する前にビザの予約が取れない場合は、ビザ発給を待つ間、海外で長期滞在する事態に直面する可能性があります。
ビザ申請手続き中のセキュリティ・クリアランスによる遅延の可能性に備えてください。米国に戻る前に新しいビザを申請する必要がある場合は、待ち時間が長くなる可能性や、申請に対しセキュリティチェックの追加審査の対象になる可能性があることを覚悟しておいてください。米国領事館は、あなたの国籍、米国政府のセキュリティデータベースに登録されている個人とあなたの名前が類似しているかどうか、あなたの職業や学位がハイテク分野であるかどうかなどの理由に基づいて、ビザ申請に際し、追加のセキュリティチェックを受けるよう求めることがあります。セキュリティ・チェックは通常のビザ申請プロセスの一部ですが、国務省やその他の機関により、より厳格な審査が行われる申請もあります。
セキュリティ・クリアランスが必要な場合、クリアランスが完了するまでビザは発給されません。このプロセスは機密事項であるため、領事館はクリアランスが進行中であるか否かを公表しませんが、「事務処理中(Administrative Processing)」であることを示すことはあります。セキュリティ・クリアランスには、数日から数ヶ月かかることがあります。一般的に、政府はセキュリティ・クリアランスを早めることはありません。過去にセキュリティ・クリアランスを受けたことがある場合は、再度のセキュリティクリアランスが行われるリスクが高くなるため、渡航計画を立てる前にそのリスクと遅延の可能性を考慮する必要があります。詳細はこちらをクリックしてください。
米国入国審査では、セキュリティー・チェックが強化されます。米国に戻る際には、バイオメトリック・データ・コレクション・システム(Biometric Data Collection System)を通過する必要があります。これは、指紋、写真、渡航書類を米国の国家安全保障省および警察のデータベースと照合する手続きです。また、入国ステータス、渡航歴、訪問目的、経歴、逮捕歴、前科、雇用、その他の問題について集中的に質問を受けることもあります。またお持ちの電子機器の検査が行われる可能性があります。
入国審査の際の検査中は忍耐強く対応することが大切です。渡航前に、会社所有の携帯電話、ノートパソコン、その他のデバイスの検査に対処する際の雇用主の手順を確認してください。検査中は、できる限り正確に質問に答えましょう。質問の意味や意図が理解できない場合は、説明を求めてください。入国の際に拘留された場合、通常弁護士を同席させる権利はありませんが、必要が生じた場合はフラゴメンのオフィスに電話する許可を得てください。その際、我々に連絡することで、さらに情報が必要な場合に雇用主に連絡することができることを説明してください。入国審査の詳細については、こちらをクリックしてください。
I-94到着記録を入手する。空路または海路での入国で米国税関・国境警備局(CBP)による入国審査を通ると、パスポートに入国日、入国クラス、滞在許可の有効期限を示すスタンプが押されますことがありますが、現在CBPは入国スタンプを段階的に廃止しています。パスポートに物理的な入国スタンプが押されるかどうかにかかわらず、あなたの入国情報と滞在期間はCBPのオンラインI-94入国記録システムに入力されます。I-94記録に記載される有効期限は非常に重要で、米国で合法的資格で滞在できる期限を示します。この期限を超過すると、深刻な事態を招くことがあります。
米国到着後、オンラインI-94のプリントアウトをここから入手してください。コピーをFragomenの担当者に送り、1枚は記録として保管してください。I-94に間違いがある場合は、できるだけ早く担当者にお知らせください。
3️. 大統領の政権交代による旅行計画への影響
ドナルド・トランプ次期大統領は2025年1月20日に就任し、米国への入国に影響する多数の大統領令を、就任式の日にも速やかに発令する可能性を示唆しています。これらは、特定の国の国民の入国を制限するほか、出生国や市民権に関係なく、外国人に対するビザ申請時および米国審査でのセキュリティ・スクリーニングを大幅に強化するという形を取る可能性があります。1月20日以降に米国への渡航または再入国を予定している外国人は、計画を確定する前に弁護士に相談することを検討してください。
入国禁止やその他の制限の可能性 トランプ次期大統領は、第1次政権発足時に課した渡航禁止措置と同様のものを復活させると述べています。次期大統領やそのアドバイザーも、将来の渡航禁止措置の範囲については明言していませんが、以下の国で生まれた、あるいはその国の国民は、トランプ第1次政権時に一定の渡航禁止措置の対象となっており、新政権でも何らかの形で入国制限の対象となる可能性があります: チャド、エリトリア、イラン、イラク、キルギス、リビア、ミャンマー、ナイジェリア、北朝鮮、ソマリア、スーダン、シリア、タンザニア、ベネズエラ、イエメン。トランプ次期大統領は、他の国からの入国者に対する制限も検討する意向を示しています。
より厳重なセキュリティチェック。次期政権が掲げている目標のひとつに、移民法上の利益・恩恵を受けようとする外国人に対する厳格な審査があります。渡航やビザの申請に関して、2025年1月20日以降、ビザを求める外国人に対しては、海外の米国領事館において、米国国境や空港での入国検査において、より集中的かつ頻繁に身元調査やセキュリティ・スクリーニングが極端な審査方針のもと行われることを意味するかもしれません。少なくとも、極端な審査はビザ取得や入国までの待ち時間が長くなることを意味し、米国への渡航や雇用の開始・再開を遅らせる可能性があります。また、米国への入国拒否率が高くなる可能性もあります。
潜在的な入国制限とセキュリティ・スクリーニングが旅行計画に与える影響。海外旅行や米国への入国・再入国を計画されている方は、遅延や不確実な状況下でのリスクを最小限に抑えるため、以下の点を考慮してください:
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- 渡航禁止措置の対象となる可能性のある国の国民または市民は、2025年1月20日以前に米国に戻ることを検討した方がよいでしょう。
- 2025年1月20日以降に米国ビザの発給を待っている人は、出生国や国籍、逮捕歴や前科、軍歴、渡航歴、学歴、その他の経歴などの身元情報、ハイテク分野に携わっているかどうか、セキュリティ・データベースに登録されている名前と類似しているかどうか、またはこれらの組み合わせなど、さまざまな要因に基づいてセキュリティ・スクリーニングがさらに強化される可能性があります。これらの要因はいつでも追加セキュリティ・スクリーニングの引き金となり得ますが、2025年1月20日以降すぐに発令される大統領令により、遅延のリスクをさらに高まる可能性があります。
- 米国外にいて、2025年1月20日以前に有効なビザが発行され手元にある人も、2025年1月20日以降に入国する場合、国境での審査が厳しくなり、特定の事実や状況によっては入国拒否の対象となる可能性があります。より厳格な審査は、旅行者の出生国や市民権、米国滞在の目的、逮捕歴や犯罪歴、渡航歴、その他の要因に基づいて行われる可能性があります。
4. 詳細情報
当事務所のウェブサイトでは、海外渡航および入国に関する移民法上の義務に関する詳細情報をご覧いただけます。新政権で予想される移民法に関する動向や政策の詳細については、こちらのクライアントアラートをご参照ください。
この注意喚起は情報提供のみを目的としています。ご旅行の計画について具体的なご質問がある場合は、フラゴメンの各担当者にお問い合わせください。