2025年4月15日 アメリカ移民法速報
部外国人に対し新たなオンライン登録要件を施行
April 15, 2025
概要
- 2025年4月11日以降、米国に滞在する特定の外国人は、国土安全保障省のオンライン登録、指紋採取及び身元調査を受けることが義務付けられました。
- 登録義務を怠った外国人は、罰金や刑事罰を含む重大な罰則が科されます。
- 入国審査を受けずに米国へ入国したり、犯罪歴のある外国人は、登録後に強制措置を科される可能性があり、それに伴う影響を十分に理解するために弁護士に相談するべきでしょう。
- 4月11日、国土安全保障省(Department of Homeland Security、以下DHS)は初めて、当該登録規則発効日である4月11日の時点で登録対象となる外国人は即時登録が必要であり、、登録義務施行日である4月11日から30日以内の登録ではないことを明らかにしました。
問題点
最近公表された連邦規則では、2025年4月11日より米国に滞在する一部外国人は、国土安全保障省(DHS)にてオンライン登録し、指紋採取と身元調査を受けることが義務付けられました。
米国ビザでの入国者、永住権(グリーンカード)保持者、I-94出入国記録、就労許可証(Employment Authorization Document、以下EAD)、国境通過カードの取得者等、米国に滞在する外国人の大半は、既に登録済みとみなされ、通常追加手続きは必要はありません。しかしこれらの外国籍者は、常に入国管理に関する書類を携帯し、住所の変更があった場合は10日以内に報告することが極めて重要です。詳細要件についてはこちらをクリックしてください。
新制度に従う必要のある外国人は以下の3グループに分類されます:
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- 商用または観光目的によるビザなしで陸路で米国に入国し、I-94出入国記録が発行されず、米国に30日以上滞在するカナダ人。
- 米国に30日以上滞在し、滞在中に14歳の誕生日を迎える(迎えた)外国人。但し、一定の例外条件がありそれは後述します。
- 審査なしで米国に入国(Entry Without Inspection、 以下EWI)し、30日以上米国に滞在し、登録済みとみなされていない外国人。
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04/11/2025更新
4月11日、DHSのクリスティ・ノーム長官はDHSのウェブサイトに、登録対象者ですでに米国に30日以上滞在している外国人の登録期限は、登録に関する暫定最終規則(Interim Final Rule、以下 IFR)発効初日の4月11日であると発表しました。発表によると、対象の外国人は「直ちに」登録しなければなりません。4月11日以前は、IFRもDHSのガイダンスも、新規則の発効日である4月11日より30日以上前に米国に入国または14歳になった登録対象者に、この30日という期限がどのように適用されるのか明確にしていませんでした。詳細は以下の質問8をご参照ください。
以下は新しい手続き、対象者、登録の有無が与える影響について、よくある質問集(Frequently Asked Questions、以下FAQ)を編纂しました。これらのFAQは、政策や要件の進展に応じて更新されます。具体的なご質問に関しては、弊所の専門家までお問い合わせください。
1. 米国政府が新しいプロセスを導入する理由は何ですか?
米国の長年の法律と規則により、米国に滞在する外国人は連邦政府に登録することが義務付けられています。多くの場合、外国人が米国外でビザ(移民または非移民)を申請し、指紋採取時又はI-94出入国記録、就労許可、永住カード(グリーンカード)、またはその他の適格な移民文書を受け取った際に登録が行われます。ビザなしでの米国入国の場合は、米国に30日以上滞在する場合に登録しなければなりません。14歳になる前に入国した子供は、14歳の誕生日を迎えてから30日以内に再登録が必要となる場合があります(子供の登録に関する詳細は以下をご参照ください)。
2025年1月20日、トランプ大統領は大統領令を発令し、特に国土安全保障省に対し定められた登録要件を厳格に実施し、外国人が遵守していることを確認するよう指示ししました。この大統領令を履行するため、DHSは暫定最終規則(IFR)を発行しました。IFRは、連邦政府が規則の発令前に一般市民への事前通知や意見提出の機会を与えずに規則を発令することを認めるもので、未登録者に対し登録と指紋採取を義務付ける新たなオンライン・プロセスを設置しました。
擁護団体の連合は、政府が公告や事前通知や意見提出の機会を与えずに規則を発令したのは適切な規制手続きに従わなかったと主張して訴訟を起こしましたが、新規則の実施を停止するよう求めた連合の要求は4月11日に却下されました。訴訟ː Coalition for Humane Immigrant Rights v. DHS, Case No.1:25-cv-00943 (D.D.C., filed March 31, 2025)。従って、この規則は予定通り4月11日に発効しました。
2. 新制度を利用する必要がないのはどのような人ですか?
大半の外国人は、既に登録要件を満たす書類を所持、又は申請書を提出しているため、何もする必要はありません。この外国人には、14歳以上で米国にビザで入国したか、以下のいずれかの書類を発行された人が含まれます:
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- 合法的永住カード(グリーンカード)
- 国境通過カード
- 移民局(US Citizenship and Immigration Services、以下USCIS)発行の就労許可証(EAD)
- 非移民および仮出国者のI-94またはI-94W出入国記録
- 有効で未使用のDHS非移民入国スタンプまたは外国パスポートのパロール(臨時入国許可)スタンプ
- 出頭通知書(Notice of Intent to Appear、以下NTA)または外国人が退去強制手続きに入る際に発行されるその他の書類。
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以下のいずれかの申請書を提出した外国人は登録要件を満たしているため、通常他の手続きをする必要はありません:
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- フォームI-485によるステータス変更申請
- I-590難民登録申請書
- 一時滞在資格の申請
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3. どのような人が登録を免除されますか?
登録が免除される外国人
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- 米国入国前に非移民ビザまたは移民ビザを発給され、14歳以上で入国した外国人
- AビザまたはGビザを申請しているか、保持している外国人。
- 米国滞在が30日以内の外国人。
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4. どのような人が新システムに登録する必要がありますか?
既存の登録手続きを免除されていないため、オンライン登録手続きを行う必要がある外国人は以下の3グループに分類されます:
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- 年齢を問わず、(1)商用または観光目的によるビザなしで渡航し、(2)陸路で米国に入国し、(3)I-94出入国記録が発行されず、そして(4)米国に30日以上滞在するカナダ人。
- 米国に30日以上滞在し、米国で14歳になった外国人は、通常14歳の誕生日から30日以内に登録し、指紋を採取しなければなりません。
- 年齢を問わず、入国審査なしで米国に入国し
- 米国に30日以上滞在
- 登録書類を持っていない(質問2参照)。
- 資格変更、難民認定、一時滞在の申請をしていない。これには、審査なしでの入国、Deferred Action for Childhood Arrivals (DACA)、Temporary Protected Status (TPS)、または庇護を申請しているが、EAD、NTA、または登録の証拠となる書類を発行されていない外国人も含まれる(質問2参照)。
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5. 私の子供は米国に入国して30日以上経ち、14歳になります。登録または再登録が必要ですか?
入国後30日以上経過し14歳になる子供は、登録履歴の有無に関わらず通常14歳を迎えてから30日以内に登録または再登録を行い、指紋採取をする必要があります。14歳を迎える子供に関する具体的なガイダンスは以下の通りです:
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- 子供がビザで入国した場合、ビザ申請時に登録されているとみなされます。ただし、登録済みとみなされた子供であっても、免除の資格がない限り14歳を迎えた時点で再登録しなければなりません。よって、お子様は再登録の対象となる可能性が高いため、14歳を迎えた時点でオンライン登録手続きを行うことをお勧めします。
- 子供がビザ免除のカナダ訪問者として陸路で入国しI-94が発行されなかった場合、入国後30日以内に登録し14歳を迎えてから30日以内に再登録する必要があります。
- 子供がH-4、L-2、TDなどの非移民ステータスで入国し、I-94が発行された場合、I-94の発行に基づいて入国時に登録されたとみなされます。ただし前述の通り、既に登録済みとみなされた子供であっても例外が適用されない限り、一般的には14歳を迎えた時点で再登録しなければなりません。
- 非移民資格で入国した子供がビザ免除者である場合(ほとんどのカナダ人を含む)、子供は再登録義務の対象となる可能性が高いため14歳を迎えた時点でオンライン登録手続きを行うことをお勧めします。
- 子供が米国永住権保持者である場合、通常14歳を迎えてから30日以内にUSCIS Form I-90を使って新しいグリーンカードを申請する必要があります。新しいグリーンカードのためのI-90申請が、DHSへの子供の再登録を兼ねているかどうかは明らかではありません。そのため、お子様に代わってI-90フォームを提出後、お子様を登録する必要が明確でない場合でも、登録することをお勧めします。
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6. 14歳未満の子供も登録が必要ですか?
ビザなしで米国に入国し、I-94が発行されなかった14歳未満の子供は、親または保護者による登録が必要ですが、指紋採取は必要はありません。こちらは商用又は観光目的でビザなしで渡航し、陸路で米国に入国し、I-94が発行されず、米国に30日以上滞在するカナダ国籍の子供も含まれます。また、審査なしで米国に入国し(EWI)、米国に30日以上滞在する予定の14歳未満の子供で、上記の登録書類または申請中の書類がない子供も含まれます。この2つのグループの子供は、14歳を迎えた後も再登録が必要で、その際に指紋採取の必要も生じます。
ビザで米国に入国、またはI-94を発行された14歳未満の子供は登録の必要はありません。(14歳を迎えた時点での登録の必要性については、前述の質問をご参照ください。)
7. 外国人はどのようにDHSに登録するのですか?
USCISシステムへの登録が必要な場合は、以下の手続きが必要です:
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- 登録者が14歳未満の子供の場合、親または保護者が子供のアカウントを作成する。
- オンライン登録フォーム「USCISフォームG-325R」に記入し、提出する。
- 14歳以上でカナダ人の訪問者でない場合、指紋採取と写真撮影のためにUSCIS申請サポートセンターに出頭する。
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8. (アップデート)登録の期限は?新しい登録規則が発効する前に米国に入国した、または14歳になった外国人はどうなりますか?
一般的に、登録または再登録義務の対象となる場合、登録期限は入国後30日以内、または14歳になってから30日以内です。
4月11日、DHSのクリスティ・ノーム長官はDHSのウェブサイトに、登録対象者ですでに米国に30日以上滞在している外国人の登録期限は、登録に関する暫定最終規則(IFR)発効初日の4月11日であると発表しました。発表によると対象の外国人は「直ちに」登録しなければなりません。4月11日以前は、IFRもDHSのガイダンスも、新規則の発効日である4月11日より30日以上前に米国に入国または14歳になった登録対象者に、この30日という期限がどのように適用されるのか明確にしていませんでした。
今回の規則に基づく登録については、先ず現在アメリカに滞在中で14歳を迎えたお子様の対応を行ってください。以前の滞在で14歳を迎えた子供は、現在の滞在でI-94が発行されていれば登録を受ける必要はありません。
9. 第三者による登録の代行は可能ですか?
いいえ、登録はご自身で行う必要があります。弁護士やその他第三者は、御本人に代わってmyUSCISアカウントを作成したり、myUSCISアカウントからG-325Rフォームを提出したり、アカウントにログインすることはできません。ただし、登録者が14歳未満の子供の場合、子供の親または後見人が子供に代わってフォームに記入し提出することができます。
外国人の大半は登録手続きを自分で行わなければなりませんが、第三者による補助は可能です。第三者が登録用紙の記入を手伝う場合は、G-325R用紙の記入時にその人物の名前とその他の情報を開示し、準備者としての役割に関する文書に署名して、myUSCISシステムにアップロードする必要があります。
10. 外国人は登録手続きにおいてどのような情報提供が必要ですか?
フォームG-325Rでは、登録者に経歴、連絡先、移民情報、米国への最終入国日、米国における現在および将来の活動、滞在予定期間、出国予定日、配偶者(いる場合)及び両親に関する情報、犯罪歴などを提供するよう求めています。
外国人が登録時に提供する情報は真実でなければなりません。虚偽または誤解を招く情報は深刻な結果を招く可能性があります。同時に犯罪歴や移民法違反(米国への無審査入国を含む)に関する情報の開示は、重大なリスクをもたらす可能性があります。詳細は以下をご覧ください。
11. 外国人がオンライン登録を提出するとどうなるのでしょうか?
外国人がフォームG-325Rをオンラインで提出すると、システムによって申請内容が審査されます。USCISの記録により、当該外国人が既に登録済みであることが確認された場合(14歳の誕生日以降に再登録が必要な子供を除く)、システムから当該外国人に通知され、申請は終了となり、それ以上の手続きは必要ありません。
外国人のフォームG-325Rが受理された場合、USCISは当該外国人の指紋採取手続きをスケジュールします。ただし、登録者が14歳未満またはカナダからの訪問者である場合は、指紋採取は免除されます。登録者は、最寄りのUSCIS申請サポートセンターで指紋採取手続きに来なければなりません。指紋と写真の採取後、USCISはセキュリティチェックと身元調査を開始します。
登録処理が完了すると、オンラインシステムによる個別のIDが記載された「外国人登録証明」が作成されます。外国人はこの書類を印刷し、常に携帯する必要があります。
12. 外国人は登録証明書を携帯する必要がありますか?
はい。この要件は新しいオンラインシステムへの登録が義務付けられていない方を含め、米国に居住する18歳以上のすべての外国人にとって必須です。
新しいシステムに登録した方には、myUSCISアカウントに「外国人登録証明書」という書類が発行されます。登録者はこの書類を印刷し、常に携帯する必要があります。登録書類を携帯しなかった場合の罰則については、質問13をご覧ください。
移民ビザまたは非移民ビザで入国した、合法的な永住者である、またはその他の理由(上記参照)により既に登録済みとみなされる方にも、登録証明書の携帯が義務付けられています。この目的で認められる書類のリストはこちらです。
13. 登録要件を遵守しなかった場合、どうなりますか? 違反した場合の罰則やリスクは何ですか?
登録は、米国に居住する外国人にとって不可欠な法的義務です。新制度への登録が義務付けられている外国人が登録を怠った場合、重大な結果に直面することになります。故意に登録を怠ったり拒否した場合は軽犯罪となり、最高5,000ドルの罰金または最長6ヶ月の懲役、あるいはその両方が科せられます。
登録証明書を携帯しなかった場合も軽犯罪となり、最高5,000ドルの罰金または最長30日間の懲役、あるいはその両方が科せられます。
国土安全保障省(DHS)への住所変更届出を期限内に怠った場合も軽犯罪となり、最高5,000ドルの罰金または最長30日間の懲役、あるいはその両方が科せられます。また、届出の不履行が合理的に正当化される場合または故意でない場合でも、拘留および強制送還の対象となります。
犯罪歴のある外国人、審査なしで米国に入国(EWI)した外国人、あるいはその他の理由で合法的な移民資格を持たない外国人は、さらなるリスクと結果に直面します。次の質問を参照してください。
14. DHS に登録するとリスクはありますか?
前述の通り登録は米国在住の外国人の法的義務であり、登録を怠ると重大な罰則が科せられる可能性があります。
しかしながら、一部の外国人にとってDHSへの登録は、移民法または刑法に違反する可能性のある活動を明らかにすることを意味します。審査なしで米国に入国した方、またはその他の理由で合法的な移民資格を有していない方がDHSに登録すると、米国政府に自らの情報を開示することになります。いずれの場合も当該外国人は法的な執行手続きの対象となり懲役刑や米国からの強制送還(国外退去)を含む罰則が科せられる可能性があります。
したがって、犯罪歴のある者、審査を受けずに入国した者、またはその他の理由で合法的な移民資格を有していない者で登録義務の対象となる者は、移民弁護士、場合によっては刑事事件専門の弁護士に相談し、DHSへの登録義務に伴うリスクについて十分に理解する必要があります。