2026 年8月米国移民法ダイジェスト
September 1, 2026
1. DHSによる非移民ビザ保持者への60日間猶予期間廃止案、連邦審査を通過
概要
- 行政管理予算局(OMB)は、一定の非移民ビザ保持者に対し、雇用終了時に認められる裁量的な最長60日間の猶予期間を廃止する国土安全保障省(DHS)の規則案の審査を完了しました。
- 次の段階は、規則案を連邦官報に掲載し、意見公募を実施することです。規則の具体的内容は、公表されるまで明らかになりません。
- 規則は、一般からの意見を検討し、最終規則として確定するまで発効しません。通常、この手続には数か月を要します。
問題の概要
行政管理予算局(OMB)は、国土安全保障省(DHS)の規則案に対する審査を完了しました。この規則案が最終化された場合、主たる非移民ビザ保持者の雇用が許可滞在期間の満了前に終了したときに、当該本人および帯同家族に認められる裁量的な最長60日間の猶予期間が廃止されます。
規則制定手続の次の段階は、規則案を連邦官報に掲載し、通常30日または60日の意見公募期間を設けることです。
規則案の詳細は、公表されるまで判明しません。裁量的な60日間の猶予期間が廃止された場合、雇用が予定より早く終了した外国人およびその帯同家族は、原則として直ちに適法な在留資格を維持できなくなり、米国市民権・移民局(USCIS)が別個の裁量により資格違反を宥恕し、米国内での在留資格変更または雇用主変更を認めない限り、通常は直ちに米国を出国する必要があります。
背景
裁量的な最長60日間の猶予期間は、2016年の規則により創設され、2017年初頭に発効しました。この規則の下では、E-1、E-2、E-3、H-1B、H-1B1、L-1、O-1およびTNの非移民ならびにその帯同家族について、猶予期間が認められた場合、主たる非移民ビザ保持者の雇用が終了したことだけを理由に非移民資格を維持できなかったとは扱われません。猶予期間の上限は、60日間または主たる非移民のI-94有効期限までのいずれか短い期間です。各認可された申請の有効期間につき1回利用できます。DHSには猶予期間を短縮し、または付与しない裁量がありますが、最近まではその裁量行使はまれでした。もっとも、最近数か月は猶予期間を認めない事例が増えています。
この猶予期間は、失職による移民法上の不利益を緩和するために設けられました。対象者は、米国を出国することなく、同じ非移民区分で新たな雇用を探し、在留資格を変更し、または出国の準備をすることができます。雇用終了が自発的か非自発的かを問わず適用されます。
今後の見通し
規則案は次に公表され、通常30日または60日の意見公募に付されます。規則は最終化されるまで発効せず、通常は数か月を要します。公表後は、企業社会への影響を政府に伝える上で、雇用主からの意見が重要になります。意見提出を希望する組織は、FragomenのGovernment Strategies Groupによる支援を受けることができます。
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2. 国務省、世界各地で移民ビザ面接を一時停止
概要
- 国務省が一時停止措置を講じたため、海外の米国大使館・領事館における移民ビザ面接が取り消されています。
- 報道によると、この停止措置は、パブリック・チャージ審査に関する領事官研修を実施することを目的としています。
- 停止期間の見通しは明らかになっていません。
問題の概要
国務省は、パブリック・チャージ指針に関する領事官研修を実施する間、海外の米国大使館・領事館における移民ビザ面接を一時停止しています。面接予定者には、予約を取り消し、後日再設定する旨の通知が届き始めています。国務省は、停止期間や面接再開時期を発表していません。現時点の報道では、非移民ビザは対象に含まれていないとされています。
国務省は、この一時停止の予定期間や、延期された面接がどの程度速やかに再設定されるかについて情報を公表していません。また、面接を終えたものの、まだ移民ビザの発給を受けていない申請者に影響するかも不明です。ただし、移民ビザ申請の面接前手続は継続する見込みです。
背景
報道によると、国務省は、この研修により、移民ビザ申請者がパブリック・チャージとなる可能性、すなわち米国の公的給付に依存する可能性を領事官が一貫して評価できるようになると説明しています。審査では、年齢、健康状態、家族状況、資産・収入、教育および技能を含む事情全体が考慮されます。
今回の世界的な面接停止は、パブリック・チャージ上の懸念を理由に75か国の国民への移民ビザ発給を停止していた別の国務省方針を、連邦裁判所が8月21日に無効とした後に実施されました。国務省は新たな研修と同判決を関連付けていませんが、訴訟の原告らは75か国に関する8月21日付命令の履行を求め、再び裁判所に申立てを行っています。
新たなDHSのパブリック・チャージ方針は、2026年9月18日以降のAdjustment of Status申請(在留資格調整申請)に適用されます。国務省は今回の研修を新制度への準備とは説明していませんが、移民ビザ申請者に関する国務省方針は、在留資格調整申請に適用される新たなDHS方針と整合する可能性があります。USCISによる在留資格調整申請の審査は停止されていません。
移民ビザ申請者への影響
申請者は、管轄する大使館・領事館からの連絡を注視し、別段の指示がない限り、面接前の申請要件を引き続き完了させる必要があります。面接の遅延は、移民ビザ発給および永住者としての米国入国の遅延につながります。停止期間が短くても、各公館が延期案件を処理し、新たな研修内容を適用するため、より長期の遅延が生じる可能性があります。
3. DHS、H-1Bビザ制度の変更を提案へ
概要
- DHSはH-1Bビザ制度の各側面を改定する新規則案の手続を開始し、現在OMBが審査しています。
- DHSの説明によると、規則案には年間枠免除資格の見直し、H-1B規則違反があると判断された雇用主への審査強化、第三者就労先への配置に対する監督強化などが含まれます。詳細は公表まで明らかになりません。
- 連邦官報に掲載後、DHSは30日または60日の意見公募を実施します。
問題の概要
DHSは、H-1B非移民制度の各側面を改定する新規則案の策定手続を開始しました。規則案は現在OMBの審査中で、審査通過後、連邦官報に掲載され、30日または60日の意見公募に付されます。
規則案の内容は公表まで非公開です。ただしDHSは、年間枠免除資格の見直し、制度違反があると判断された雇用主に対する審査強化、H-1B従業員の第三者就労先への配置に対する監督強化などを予定しているとしています。この計画は7月公表の規制予定表に含まれていました。
H-1Bビザに関しては重要な規制措置が相次いでいます。OMBは現在、在留資格変更申請および領事通知申請を含むすべての年間枠対象H-1B申請に103,265ドルの追加手数料を課すDHS案を審査しています。8月初旬には、H-1BおよびL-1従業員の比率が高い申請者が支払う手数料の適用拡大が発表されました。さらに労働省は、H-1Bその他の賃金規制対象制度における最低賃金の引上げを提案しています。
今後の見通し
連邦審査を通過後、規則案は連邦官報に掲載され、30日または60日の意見公募に付されます。DHSが提出意見を検討し、施行日を定めた最終規則を公表するまでは発効しません。企業社会への影響をDHSに伝える上で、雇用主からの意見が重要になります。
4. USCIS、年間枠対象H-1B申請に10万ドル超の新手数料を提案
概要
- 規則案では、年間H-1B枠の対象となるすべての申請に103,265(約1,650万円)ドルの追加手数料が課されます。
- 在留資格変更または領事通知のいずれを求める申請であるかを問わず適用されます。
- USCISは、8月25日の正式公表後30日間、意見を受け付けます。意見を検討し、最終規則として確定するまで発効しません。
- 最終規則となった場合、訴訟で争われる可能性があります。
問題の概要
USCISは、在留資格変更申請および領事通知申請を含むすべての年間枠対象H-1B申請に、103,265ドルの追加手数料を課すことを提案しています。規則案は翌日の連邦官報に掲載され、30日間の意見公募に付される予定で、事前公表版が利用可能です。連邦規則制定手続を完了するまで最終化されません。
USCISによると、新手数料は複数の連邦機関にまたがる合法的移民制度全体の運営を支えることを目的としています。最終化された場合、訴訟で争われる可能性があります。
この手数料案は、7月公表のUSCIS規制予定表には含まれていませんでしたが、8月19日にOMBへ提出され、同日中に審査を通過しました。これは異例に迅速な審査です。
詳細
追加手数料は、年間上限85,000件(米国の上級学位取得者向け20,000件を含む)の対象となるH-1B申請のみに適用されます。H-1B延長申請、年間枠免除機関による申請その他の理由で免除される申請には適用されません。手数料はH-1B申請時に支払うことになります。次のH-1B年間発給枠対象申請の受付シーズンは2027年春に始まり、申請期間は通常4月初旬に開始します。
新手数料は、既存のH-1B申請手数料に加えて課されます。該当し、かつ復活した場合には、現在無効とされている大統領布告に基づく10万ドルのH-1B手数料も含まれます。同手数料は係争中の訴訟に基づき無効とされており、政府は現在徴収を認められていません。
H-1B区分では、H-1BおよびL-1従業員の比率が高い申請者に対する手数料の適用拡大や、労働省による最低賃金引上げ案など、重要な規制措置が相次いでいます。
今後の見通し
USCISが30日間の意見公募で受領した意見を検討し、具体的な施行日を定めた最終規則を公表するまで、新手数料は発効しません。企業への影響をUSCISに伝える上で、雇用主からの意見が重要になります。
5. DHS、H-1BおよびOPTの新手数料を提案へ
概要
- DHSは、H-1B制度およびF-1学生のオプショナル・プラクティカル・トレーニング(OPT)制度に追加手数料を課す規則案の手続を開始しました。詳細は公表まで不明ですが、相当額となる可能性があります。
- 連邦官報への掲載後、DHSは30日または60日の意見公募を実施します。
問題の概要
DHSは、実施された場合にH-1BおよびF-1 OPT制度へ新手数料を課す可能性のある規則案の手続を開始しました。OPT手数料案は8月20日にOMBへ送付され、現在審査中です。一定のH-1B申請に手数料を課す規則案は8月19日にOMBが受領し、同日中に審査を通過しました。
両案の内容は、連邦官報への公表まで非公開です。いずれもDHSの最新規制予定表には含まれていませんでしたが、最近の報道では、DHSがOPT申請に10万ドルの手数料を提案する可能性があるとされています。H-1B手数料案は、一定のH-1B申請に課した大統領布告上の10万ドル手数料を無効とした係争中の訴訟に関連する可能性があります。
H-1BおよびF-1ビザでは重要な規制措置が相次いでいます。DHSは、H-1B・L-1従業員を多数雇用する申請者に対する手数料の適用拡大を発表しました。またF-1学生制度は、J-1交流訪問者およびI報道関係者制度とともに、固定の滞在期間を設定し、追加のコンプライアンス義務を課す規則の対象となっています。同規則は連邦裁判所で争われています。
今後の見通し
OPT手数料案が連邦審査を通過すると、連邦官報に掲載され、30日または60日の意見公募に付されます。DHSが意見を実質的に検討し、施行日を定めた最終規則を公表するまで発効しません。
H-1B手数料案は、OMBへの提出当日に審査を通過するという異例に迅速な経過をたどりました。次の段階は同様に、30日または60日の意見公募です。DHSが意見を検討し、施行日を定めた最終規則を公表しない限り発効しません。
6. F・J・I非移民の「資格期間中」入国を廃止する最終規則の差止めを求める訴訟
概要
- 高等教育団体および労働組合の連合体は、F・J・I非移民について「D/S(Duration of Status ‐資格期間中)」の入国許可を固定期間の入国許可に置き換える新規則の適法性を争う連邦訴訟を提起しました。
- 原告らは、2026年9月15日に発効予定の新規則の施行差止めを求めています。
問題の概要
NAFSA、Presidents’ Alliance on Higher Education and Immigration、American Federation of Teachers、UAWなどの教育団体・労働組合の連合体は、マサチューセッツ州連邦地方裁判所に訴訟を提起しました。F-1ビザ外国人学生、J-1ビザ交流訪問者、Iビザ外国報道機関代表者およびその帯同家族について、「資格期間中」の入国許可を固定期間に置き換える新規則が、行政手続法(APA)に違反すると主張しています。訴訟名は Presidents’ Alliance on Higher Education and Immigration et al. v. U.S. Department of Homeland Security et al., 1:26-cv-13799(D. Mass.、2026年8月18日提訴)です。
訴えでは、DHSが十分な意見公募期間を設けず、規則の費用便益を十分に評価せず、公衆からの意見を実質的に検討しなかったと主張しています。さらに、規則は恣意的かつ専断的であり、DHSの法定権限を超えるとしています。原告らは、9月15日に発効予定の規則を無効とし、その施行を差し止める命令を求めています。
背景
多くの非移民が特定の日付までの滞在を認められる一方、F・J・I非移民は長年、教育・交流プログラムまたは対象雇用の継続期間中の滞在を認められてきました。9月15日発効予定の新規則では、特定の滞在期間が付与され、プログラム、雇用または任務の完了に追加の時間が必要な場合には、滞在延長を申請するか、一度出国して再入国する必要があります。
変更の結果、F・J・I非移民は、許可期間の満了後、出国または適時の延長申請をしない限り、直ちに不法滞在期間の算入が始まります。規則はF-1学生に新たな学業上の制限も課し、同等以下の学位レベルの新プログラムへの登録を禁止し、一定の学生による専攻・教育レベルの変更や転校を制限します。
今後の見通し
地方裁判所は、原告らによる緊急救済および規則停止の申立てを審理します。原告らは9月15日の発効前の停止を求める見込みです。訴訟の見通しは不確実であり、雇用主および外国人は、緊急停止が得られない場合に備え、予定どおりの規則施行に向けた準備を続けるべきでしょう。
7. USCIS、証拠提出要求なしで申請を却下できる審査官の権限を拡大
概要
- 即時発効の新方針により、当初提出に必要な証拠がすべて含まれていない場合、または申請する移民法上の利益の適格性が示されていない場合、USCIS審査官は証拠提出要求(RFE)を先に発行せず、申請を却下できます。
- 従来の標準的なRFE回答期間である12週間に代わり、審査官は案件ごとに回答期間を定める裁量を有し、12週間が上限となります。
問題の概要
USCISは新たな指針により、申請者が必要な初期証拠をすべて提出しない場合、または申請する給付の適格性を立証しない場合に、RFEまたは却下意図通知(NOID)を事前に発行せず、申請を却下する権限を審査官に付与しました。従来は、原則としてRFEまたはNOIDを先に発行し、書類上または実体上の不備に対処する機会を与えることが期待されていました。新方針は第一次トランプ政権時の同様の取組みに沿うものです。
また、原則として12週間の上限いっぱいをRFEへの回答期間として認めてきた長年の方針も廃止されます。今後、審査官は案件ごとに回答期限を設定でき、12週間が上限です。ただし、滞在延長・在留資格変更のForm I-539および暫定的不法滞在免除のForm I-601Aでは、回答期間の上限は30日です。USCISによると、審査官は当該案件で求める証拠に適した期間を設定することになります。
関連してUSCISは、家族関係に基づく移民案件で、資格要件を満たす家族関係の立証に追加証拠が必要な場合、より広範な案件でDNA検査を提案するよう審査官に求める別の指針も公表しました。これらの新方針はUSCIS Policy Manualに組み込まれ、直ちに発効し、2026年8月5日現在係属中または同日以降に提出されたすべての申請に適用されます。USCISは9月7日まで意見を受け付けています。
雇用主および外国人への影響
USCISは、各申請用紙の説明書に必要な初期証拠が明記されているとしていますが、実務上、各申請類型で何が必要な初期証拠と扱われるかが常に明確とは限りません。また、必要な初期証拠をすべて提出しても、適格性が立証されていないと審査官が判断すれば、RFEやNOIDなしで却下される可能性があります。
審査官に広い却下権限が付与されたため、申請者は弁護士と緊密に連携し、適格性を示すために必要な証拠を申請提出前に確保する必要があります。短い回答期間のRFEが発行された場合に備え、雇用主および外国人は迅速に資料を提出できるよう準備する必要があります。
8. トランプ大統領、出生地主義および出産目的渡航に関する新たな大統領令に署名
概要
- 新たな大統領令は、米国最高裁が125年にわたり維持されてきた出生地主義の枠組みを支持した数週間後に、ホワイトハウスが許容されると考える出生地主義の例外を提示するものです。訴訟で争われる可能性があります。
- 関連する大統領令は、米国内で出産する目的で入国する者、またはその入国を手助けする者へのビザ発給・入国を制限する規則および方針を実施するようDHSおよび国務省に指示しています。
問題の概要
トランプ大統領は、米国で出生した者の市民権に関する2件の大統領令に署名しました。1件は、政権が出生地主義の例外と考える範囲を示し、もう1件は、いわゆる出産目的渡航を抑制する措置を講じるようDHSおよび国務省に指示するものです。
これらの大統領令は、米国最高裁が Trump v. Barbara において、出生地主義を制限しようとした従前の大統領令を無効とした数週間後に発出されました。同判決は、外国外交官の子という狭い例外を除き、親が不法滞在中または一時滞在中であっても、米国で出生した子は憲法上、出生時から米国市民であると判断し、125年以上続く枠組みを維持しました。
「米国市民権の意味と価値を引き続き保護する」大統領令
同大統領令は、Trump v. Barbara で論じられた歴史的例外に関する政権の解釈に基づき、外国籍の親から米国で出生した子のうち、出生地主義による市民権を認めないとする類型を示しています。両親のいずれも米国市民でない場合、次のいずれかに該当する者は、米国での出生のみを理由として米国市民とは扱われません。
- 親のいずれかが「敵性外国人」である場合。大統領令は、指定外国テロ組織の構成員および特別指定国際テロリストを含むと定義しています。
- 親のいずれかが外国政府職員である場合。外国外交官、その他の大使館・領事館職員、その他の外国政府職員、国際機関免除を有する国際機関の職員を含みます。
- 親のいずれかが、当該本人の出生地主義による市民権を購入・取得するための商取引を行った場合、または市民権取得のため詐欺行為に関与した場合。
- 本人が米国領土または米国領海で出生し、連邦法により市民権が付与されない場合。
大統領令は、この一覧が限定列挙ではないとしています。また連邦機関に対し、対象者を米国市民として記録せず、対象者を米国市民と認める趣旨で州・地方政府が発行した文書を受け入れないよう命じ、30日以内に実施指針を発行するよう求めています。
この一覧は、従来認められてきた狭い例外を大きく超えます。長年の解釈・実務では、外交特権を有する一定の外国外交官の子のみが、米国出生による市民権を取得しないものとされ、その他の外国政府職員の子は米国出生であれば米国市民と扱われてきました。また、初期判例の「敵性外国人」の例外は、外国軍が米国領土の一部を占領し、その占領地で子が出生する状況を指すと一般に理解され、指定テロリスト等を指すとは解されてきませんでした。出産目的渡航または違法行為の結果出生した子についての例外も、従前は認められていません。したがって、同大統領令は訴訟で争われる可能性があります。
「出産目的の渡航を終わらせる」大統領令
2件目の大統領令は、「米国で出産する目的」で入国する外国人、または他者の入国を手助けする外国人について、ビザの拒否・取消し、入国拒否または退去を含む措置を講じるよう国務省およびDHSに指示しています。両省は、こうした活動に対処するため、方針、規則および指針を更新するよう求められます。また、他の連邦機関に対し、実施に必要な情報を提供するよう命じています。
最高裁が2025年1月20日付の出生地主義に関する大統領令を無効とした直後、司法省は出産目的渡航スキームの訴追を優先すると表明しており、今回の命令は政権による継続的な取組みの一環です。
今後の見通し
政権が新たな命令をどのように実施するかは不明です。出生地主義の例外を提示する大統領令は訴訟で争われる可能性があります。出産目的渡航に関する大統領令により、ビザ申請者および米国の入国港で入国を求める外国人への審査を強化するDHS・国務省の指針が発出される可能性があります。
9. BIA判決:一定の不法滞在歴がある外国人は、アドバンス・パロールによる渡航で入国不許可期間が発動する可能性
概要
- 移民控訴委員会(BIA)は、米国で180日を超えて不法滞在した外国人がアドバンス・パロールで国外渡航した場合、3年間または10年間の入国不許可期間が発動すると判断し、10年以上維持されてきた先例を変更しました。
- 新たな解釈は、BIA判決の発出後に行われる渡航にのみ、将来の案件に対し適用されます。
問題の概要
司法省(DOJ)の行政上訴機関であるBIAは、出国前に180日を超える不法滞在期間がある外国人がアドバンス・パロールにより国外渡航した場合、3年間または10年間の不法滞在に基づく入国不許可期間が発動すると判断しました。事件は Matter of Delcarmen-Lara, 29 I&N Dec. 830(BIA、2026年8月13日)です。
この判決は、アドバンス・パロールによる渡航は米国からの「出国」に当たらず、不法滞在に基づく入国不許可期間を発動しないとした2012年のBIA先例を変更するものです。
背景
約30年前、連邦議会は、180日を超える不法滞在後に米国を出国した外国人について、180日超1年未満の場合は3年間、1年以上の場合は10年間、ビザ、再入国または永住権への在留資格調整の資格を失う法律を制定しました。一定の場合には免除が認められる可能性があります。
一般に、許可滞在期間を超過した場合、不法に無審査入国した場合、または給付申請の審査もしくは退去手続においてUSCISまたは移民裁判官から資格違反と判断された場合、不法滞在期間が算入されます。
2012年、BIAは Matter of Arrabally and Yerrabelly において、アドバンス・パロールによる渡航は出国とみなされず、不法滞在期間に基づく入国不許可期間を発動しないと判断しました。それ以降、不法滞在歴のある外国人は、同期間の発動を懸念せずアドバンス・パロールで国外渡航できました。今回の判決により、180日を超える不法滞在期間がある者は、入国不許可期間を発動させずにアドバンス・パロールで国外渡航することができなくなります。
将来に向かっての適用
判決は将来に向かってのみ適用されます。そのため、判決日前のアドバンス・パロールによる渡航は、不法滞在に基づく入国不許可期間を発動させたとは扱われません。今後は、アドバンス・パロールによる国外渡航は「出国」とみなされ、出国前に180日を超える不法滞在期間がある場合、3年間または10年間の入国不許可期間の対象となります。
実務上の意味
今回の判決は、アドバンス・パロールによる渡航と3年・10年の入国不許可期間の関係に関する政府解釈の重大な変更です。在留資格調整申請または庇護申請が係属中であること、DACAの承認、または一時的保護資格(TPS)の付与を根拠としてアドバンス・パロールその他の類似書類を保有し、または取得可能な者で、180日を超える不法滞在期間がある場合、深刻な不利益が生じる可能性があります。
180日を超える不法滞在期間がある外国人は、アドバンス・パロールで国外渡航すると3年間または10年間の入国不許可期間が発動することを認識する必要があります。係属中の移民案件または在留資格への影響が不明な場合は、移民法務担当者へ相談すべきです。


