アメリカ移民法ダイジェスト 2023年12月
January 9, 2024
(12月)
1 米国内ビザ更新の試験運用が、1月29日よりH-1Bビザ申請者に限定して始まります
概要
- 試験運用は、(1) 2021年2月1日から2021年9月30日の間にインドの米国領事館でH-1Bビザを取得した、または(2) 2020年1月1日から2023年4月1日の間にカナダの米国領事館でH-1Bビザを取得した外国人に限定されます。
- 今回の運用は、2万件のH-1Bビザ申請に限定されています。国務省は2024年1月29日から2月26日の間、毎週約4,000件の申請枠を開放する予定です。
- 申請者はビザ申請用紙Form DS-160をオンラインで提出し、国務省の国内更新専用ウェブサイトから手続きを行います。
- 試験的なこのプログラムは、2024年4月1日または申請枠がすべて埋まった時点のいずれかの早い時期に終了します。
焦点
23年12月21日の連邦官報に掲載された通知によると、国務省は2024年1月29日に待望の国内ビザ更新パイロットプログラムを開始します。このプログラムを利用すれば、条件を満たす申請者は海外の米国領事館に出向くことなく、米国内でH-1Bビザを更新できます。
試験的な申請は、2024年4月1日(または申請枠がすべて埋まった時点のいずれか早い時点)まで受け付けられ、申請数は20,000件に制限されます。試験的プログラムの利用資格は、特定の期間内にカナダまたはインドの米国大使館または領事館でH-1Bビザを取得した限られたH-1Bビザ保持者に限定されます。
国内ビザ更新プログラムに参加資格:
国内でH-1Bビザを更新するには、申請者は以下の基準を満たす必要があります:
- 更新される以前のH-1Bビザを、在カナダの米国大使館・領事館が2020年1月1日から2023年4月1日までに発給したもの、または在印米国大使館・領事館が2021年2月1日から2021年9月30日までに発給されたものであること
- 一般的に「相互主義料(Reciprocity Fee)」と呼ばれる、国籍に基づく非移民ビザ発給手数料の対象ではないこと
- ビザ面接免除の条件を満たすこと‐(詳細は、本ダイジェストの3つめの記事参照)
- 以前のビザ申請時に、国務省に10本の指の指紋を提出していること
- 以前のビザに "clearance received "の記載がないこと
- 査証不適格の免除を必要としないこと
- 現在も有効なH-1B請願書の受益者であること
- 直近のアメリカ入国をH-1Bビザで行っていること
- 現在米国でH-1Bのステータスを保持しており、H-1Bと表示された有効な Form I-94を持っていること
- 一時的に海外に滞在した後、H-1Bビザの資格で米国に再入国する予定であること
申請書の提出方法:
申請者は、この試験的プログラムの開始日間近に運用が始まる国務省の専用ウェブページから申請する必要があります。このウェブページでは、申請者が通常の非移民ビザ申請用紙Form DS-160に進む前に、先ずこのプログラムへの参加資格があるかどうかの自己審査が行われます。
申請枠は、以下の日程で毎週提供されます:
2024年1月29日
2024年2月5日
2024年2月12日
2024年2月19日
2024年2月26日
申請の受付は、毎週約4,000件(インドの米国領事館で発行されたビザを持つ申請者から2,000件、カナダの米国領事館で発行されたビザを持つ申請者から2,000件)の申請に限られます。各週の申請枠が上限に達すると、国務省は次の申請枠公開日まで申請ウェブサイトを閉鎖します。
各申請者は申請手続きの最初の段階で、試験的なビザを申請する資格があるかどうかを判断するために自らアンケートに回答します。この最初の資格審査に合格した場合、申請者は電子非移民ビザ申請書Form DS-160に記入し、提出するよう指示が表示されます。すべての申請料金は、デビットカードまたはクレジットカードでオンラインで支払う必要があります。
申請料金の支払いが完了すると、申請者はパスポートと必要申請書類を国務省に提出する手順を受け取ります。以下の書類を、郵便または宅配便で提出する必要があります:
- 必要事項を記入し、オンライン提出されたForm DS-160;
- 国務省の規定に合ったパスポートサイズの写真1枚;
- ビザ申請日より6ヶ月以上有効で、無記名の空白ページがあるパスポート;
- 申請者の有効な移民局発行の H-1B請願書認可証のコピー;そして
- 申請者の有効なI-94フォームのコピー
DS-160、申請料、パスポート、および必要書類を受領した後、国務省は申請者がパイロットプログラムの対象となるかどうかを評価するために再度審査します。この審査に合格しなかった場合、申請書は返却されますが、申請料は返金されません。
国務省は、パスポートと添付書類が国務省に届いてから審査までに6~8週間かかると予想していますが、申請にはさらに時間がかかる可能性があります。国務省はいかなる申請も審査を早めることはしません。国務省は、受理されたすべての申請を2024年5月1日までに審査する予定です。
申請者が緊急に渡航する必要がある場合:
前述の通り、国務省は国内ビザ更新パイロットの申請の審査速度を特別に早めることはしません。申請者が急にアメリカを出国する必要が生じた場合は、申請を取り下げ、パスポートの返却を要求することができます。申請を取り下げた場合、ビザ申請の拒否とみなされますが、国務省によると、このような拒否は将来の申請に不利になることはありません。次回のビザ申請時には、新しいForm DS-160に記入し、新たに申請料金を支払う必要があります。
国内ビザの更新申請が却下された場合
国内ビザの更新申請が却下されるのは、申請者が今回の試験運用を利用する資格がないことが判明した場合、または追加のセキュリティ審査が必要な場合です。
申請が却下された場合、外国籍の方は海外の米国領事館で新しいDS-160申請書を提出し、再度申請料金を支払ってビザの更新を申請する必要があります。
更新申請書に不備がある場合は却下されますが、国務省は書類の不備、軽微な誤り、情報の欠落などの軽微なミスについては、申請者に修正を許可する場合があります。国務省は、今回の試験運用終了前にミスを変更・修正するために、申請者に2024年4月15日までに必要な情報を提供することを要求する可能性があります。
外国人と雇用主にとっての意味
今回発表された試験運用は、資格のある外国人が米国内でH-1Bビザを更新する機会を提供し、領事館での更新のために海外に渡航する潜在的な不確実性や遅延を回避するものです。
最初の試験的な運用は範囲も期間も限定されていますが、国務省は将来的には新しいビザ・カテゴリーやビザ発給国にも拡大する予定であると述べています。
パイロット・プログラムへの参加にご興味がある場合は、できるだけ早く御社の移民法弁護士へ連絡し、対象となる可能性がある従業員を確認してください。パイロットプログラムへの需要は非常に高いと予想され、申請枠には限りがあります。早めに準備することで、このプログラムのメリットを最大限に活かすことができます。
2 労働省が、グリーンカード手続きの合理化対象となる職業について意見を募集
概要
- 米国労働省は、PERM労働証明手続きが免除される「スケジュールA」職業リストの拡大に関する一般からの意見を、2024年2月20日迄募集しています。
- 今回の試みは、2005年にPERMプログラムが導入されて以来初めてです。
- 今回の意見募集は、「Schedule A」の職業リストに恒久的に人材が不足する職業を追加することが提案できる貴重な機会です。
問題点
米国労働省は、情報提供要請書(Request for Information)を公表し、「スケジュールA」として知られるグリーンカードの合理化手続きの対象となる職業リストに、米国労働者が不足していると考えられるSTEM関連やその他の職業を含める可能性について、一般からの意見を求めています。意見の提出期限は、2024年2月20日です。
この提案は、人工知能(AI)に関する最近の大統領令の具体的な指示を実現することが目的です。この大統領令は10月30日に発布され、多くの移民関連条項を含んでおり、その中にはAIやその他のSTEM関連職種などの分野で、即戦力で、働く意欲があり、能力を持ち、条件を満たす米国人労働者の数が不足している職種を特定することを目的として、労働省に一般からの意見募集を義務付ける指令も含まれています。
現行の規則では、スケジュールAに特定された職業に対する永住権申請は、労働市場テストを行う必要はなく、PERM申請手続きを省略することができるため、雇用に基づく永住権取得までの全体的なスケジュールを大幅に短縮することができます。現在スケジュールAに特定されている職業は、特定の医療関連職業と卓越した能力を持つ個人のみを対象としており、このリストを特定のSTEMおよびその他の人材が不足する職業に拡大する可能性は、雇用主がスポンサーとなるグリーンカード手続きの合理化に向けた重要な一歩となるでしょう。
労働省が意見を求める情報
労働省のRequest for Informationでは、主に4つの分野について情報や意見を求めています:
- 労働力不足が存在するかどうかを判断するための適切なデータソースと方法論、STEM職種の労働力不足を緩和するためにスケジュールAを使用すべきかどうか、使用する場合、労働力不足に陥っているSTEM職種を特定するための信頼性が高く、客観的で透明性のある方法を労働省が確立する方法;
- どの職業がSTEMの傘下にあるとみなされるべきかを定義・決定し、STEM職業をスケジュールAに追加すべきかどうか、またその理由は何か;
- スケジュールAに追加される可能性のあるSTEM職種の検討を、主に専門職に限定するか、あるいは熟練技術職にも拡大するか。
- スケジュールAに追加されるべき労働力不足に陥っている非STEM職種が存在するかどうか、また、そのような労働力不足が存在すると判断するためのデータソースと方法論。
- 労働力不足が発生している非STEM職種をスケジュールAに追加すべきかどうか、およびそのような労働力不足が存在すると判断するためのデータソースと方法論についても検討する。
今後の予定
労働省の一般からの意見募集に対して情報の提供を希望する場合は、弊所の弁護士または弊所のGovernment Strategies and Compliance Groupまでご連絡ください。
労働省は、一般からの意見を検討した上で、スケジュールAの改正案または中間最終規則を発表する可能性があります。
3 国務省は非移民ビザ面接免除プログラムの延長と拡大を発表
概要
- 米国国務省のビザ面接免除プログラムが、2024年1月1日より延長されました。このプログラムは無期限で実施され、毎年見直されます。
- 今回の発表では、面接免除の対象者が拡大され、初めてH-2ビザを申請する有資格者、(2) 過去にいずれかのカテゴリーの非移民ビザを発給されたことがあり(過去に発給されたビザがBビザのみであった場合を除く)、直近のビザの有効期限から48ヶ月以内に申請する者、も対象となりました。
- 同じカテゴリーのビザを48ヶ月以内に更新する特定の申請者に対する面接免除プログラムは、無期限で有効です。
- この面接免除プログラムを実施するか否かは各米国大使館・領事館の判断に委ねられており、必ずしも実施する必要はありませんが、現地の状況やリソースが許す限り実施することができます。
焦点
国務省は、国土安全保障省と協議の上、特定のビザ申請者に対する非移民ビザ面接免除プログラムの延長と拡大を発表しました。この延長と拡大された資格基準は2024年1月1日から無期限に適用されますが、国務省はこのプログラムを毎年見直す予定です。非移民面接免除プログラムはこれまで1年単位で延長されており、直近の延長は2023年12月31日に終了する予定でした。
さらに、このプログラムとは別に、領事は過去48ヶ月以内に以前のビザが失効した場合、同じ分類の非移民ビザを申請する個人の面接を免除することができます。
米国領事館の裁量で面接免除の方針を採用することは許可されていますが、これらの方針の実施を強制されるものではありません。特定の領事館が面接免除プログラムを実施しているかどうか、またどの程度実施しているかについては、米国領事館のウェブサイトを参照してください。
詳細
今回の改正されたプログラムでは、以下の場合、米国領事は面接を免除することができます:
1 初回のH-2ビザ申請者
2 その他の非移民ビザ申請者で、以下のいずれかに該当する者:
- 以前にBビザ以外の非移民ビザを発給されたことがある。
- 直近の非移民ビザの有効期限から48ヶ月以内に申請する者。
以前は、F、M、Jの学生ビザ、交流訪問者ビザ、移民局の請願申請ベースのH-1、H-3、H-4、L、O、P、Qビザ、および特定のH-2ビザの申請者に限定されていました。 面接免除は、学生ビザ、交流訪問者ビザ、および特定の雇用ベースの非移民ビザの初回申請者で、ビザ免除プログラム対象国の国民または市民である人を対象としていましたが、2024年1月1日以降この特定のカテゴリーは撤廃されました。
面接免除を受けるには、申請者は以下の条件を満たす必要があります:
- 国籍を持つ国または居住国で申請すること;
- ビザを拒否されたことがないこと(拒否を克服または免除された場合を除く);そして
- 明らかに、または潜在的にビザ申請不適格でないこと。
今回の方針が意味するところは
米国領事館は面接免除政策の実施を義務付けられていないため、このプログラムの実施は各領事館によって異なります。ビザ申請者は、該当する米国大使館または領事館のウェブサイトで、現在利用可能なサービスの詳細情報、面接免除ビザの申請資格や申請方法を確認することをお勧めします。
4 2月26日から、移民局の特急審査(Premium Processing Service)の費用が値上がりします
概要
- I-140移民労働者請願書およびほとんどのI-129非移民労働者請願書の特急審査費用は、現行の2500ドルから2805ドルに値上げされます。その他の特定の請願書および申請書の料金も値上げされます。
- 新料金は、2024年2月26日以降の消印のある申請から適用されます。
焦点
23年12月28日の発表によれば、移民局は2024年2月26日から特定の雇用に基づく申請および請願書の特急審査サービスの費用を値上げします。
新料金は以下の通りです:
ケースタイプ |
現行料金 |
新料金 |
値上げ幅 |
Form I-140 |
$2500 |
$2805 |
$305 |
Form I-129 |
$2500 (H-2BとR-1申請の場合は$1500) |
$2805 (H-2BとR-1申請の場合は$1685) |
$305($185) |
Form I-539 |
$1750 |
$1965 |
$215 |
Form I-765 (F-1 OPT) |
$1500 |
$1685 |
$185 |
移民局のプレスリリースによると、新料金は2024年2月26日以降の消印の特急審査対象の申請から適用され、また同料金は今後2年ごとに値上げする予定とのことです。 現在のところ、特急審査案件の審査期間を変更する予定はありません。
移民局の申請料金変更案の状況
2023年1月、移民局は様々な申請書や請願書の申請費用、および毎年のH-1B発給枠抽選に外国人を登録するための費用を大幅に引き上げることを求める案を発表しました。 これは、議会が特急審査プログラム(Premium Processing Service)を恒久化し、新たな案件タイプに拡大した際に提案されたものですが、この提案には特急審査費用の値上げは含まれていませんでした。 移民局によれば、より広範な新料金案はまだ検討中であり、2024年4月までに最終決定される可能性があるようです。
雇用主にとっての意味
雇用主は、24年度の移民法予算の中に、新たな特急審査料金を織り込む必要があります。
5 米国移民局は、H-1Bビザの近代化を提案(23年10月)
概要
- 提案されている新規則は、発給枠対象のH-1Bビザ抽選登録システムの強化と乱用の防止、H-1B専門職種の定義の改訂、H-1Bビザへの在留資格変更を待つF-1学生に対するキャップギャップ保護の強化、非移民ビザ請願書の変更が必要な場合と不要な場合の明確化、等を目的としています。
- この規則案は23年12月22日迄の60日間、一般からの意見を受け付けます。
- この規則案は、最終決定され連邦政府の審査を通過するまでは発効しません。
- 一部の規定は、2024年初頭に開始される2025年度H-1B発給枠申請の開始に間に合うように最終化される可能性があります。移民局は、1つまたは複数の最終規則を通じて段階的に実施する可能性を示唆しています。
規則案が目指すもの
H-1B発給枠対象申請の登録システム: 本規則案は、H-1B発給枠対象となる申請の抽選登録システムとプロセスを強化し、悪用されないようにすることを目的としています。これは、昨年の登録手続きで多くの企業や団体が不正をはたらき、同一の申請対象者に対し複数の登録申請があった事実を受けての提案であり、複数の登録が提出された場合でも各受益者が同じ確率で選ばれるようにするためです。また、H-1B請願書のベースとなる登録に虚偽の証明が含まれていた場合、またはその他の理由で無効であった場合、H-1B請願書を却下または取り消す権限を成文化することも求めています。
対象となるH-1B申請者の職業: 移民局は、H-1B保持者が従事する専門職種の定義を大幅に改訂します。この改正案の多くは、定義により大きな柔軟性を導入することになります。特に、定義の1つである学士号を必要とする職業についても、学士号を「通常」必要とする職業は、「常に」学士号を必要とすることを意味するものではないことを明確にします。さらに、採用時に雇用主が幅広い専門分野の学位を受け入れている場合でも、その職務に関連する分野であれば、H-1B専門職として認められる可能性があることを認めます。この問題は、過去に大きな訴訟の対象となり、現在も移民局の証拠提出要求の対象になっています。しかし、移民局はまた、顧客やビジネスパートナーなど自社オフィス以外の場所で勤務するオフサイト勤務に関する新しい規則を提案し、H-1Bビザ保持者がオフサイトで勤務する場合、そのポジションが適格な専門職業であるかどうかを判断する際には、請願者(雇用者)ではなく、そのオフサイト先である第三者の採用要件が最も重要であると規定しています。
H-1Bビザ保持者の勤務地の変更と請願書の修正 :この規則案は、H-1Bビザ保持者の就労場所に重大な変更があった場合、雇用主は非移民請願書を修正しなければならないという、長年にわたる労働省の要件を成文化するもので、就労場所の変更がある前に修正請願書を提出することを義務付けるものです。また、本提案では、既存の請願書のベースとなる労働省の労働条件申請書(LCA)に記載されている雇用予定地域内の場所の変更など、就労場所の変更がH-1Bビザ請願書の修正を必要としない場合も明確にしています。
企業オーナーのH-1B資格: この規則案は、H-1B申請の対象者が請願書を提出する企業のオーナーである場合、いくつかの条件付きでH-1Bの資格を得ることができることを明確にします。
正式なH-1B雇用: この規則案は、H-1B受益者一人一人に対し、正式な仕事のオファーがあることを示す雇用契約書やその他の証拠を要求するという長年の慣行を成文化するものですが、H-1Bビザ請願書の旅程要件は廃止されます。また、この規則案では、H-1B請願企業が米国内に合法的に存在し、米国内での訴訟を含めて方手続きが可能であるという要件も追加されます。
過去の非移民裁決の尊重: 移民局は、過去の裁定を尊重するという現在の方針を成文化しようとしています。これにより、雇用主は、申請の基礎となる事実に重大な変更がない場合、H-1Bビザ延長申請の結果をより予測しやすくなります。
F-1のキャップギャップ保護の強化:提案されている規則は、H-1Bビザへの資格変更を適時に申請したF-1学生に対して、より長いキャップギャップ保護期間(10月1日から翌年の4月1日まで延長)を可能にします。この提案は、資格要件を満たすF-1ビザ保持者がH-1Bビザへの変更を待つ間、滞在資格と就労許可の失効を避けるために、最大6ヶ月の追加資格と就労許可を提供することを目的としています。
長引く請願書審査の影響を軽減:提案された規則では、請願書の審査結果が判明した時点で請願書で求めていた有効期間が既に失効している場合、請願書に要求された非移民雇用有効期間を修正することができます。
企業調査プログラムの成文化: 本規則案は、移民局が長年に渡り行ってきた企業の不正調査およびH-1Bビザ保持者の勤務地訪問プログラムを成文化し、調査や訪問に応じない場合、請願書の却下または取り消しにつながることを明確にするものです。
雇用主と外国人にとっての意味
この規則はあくまでも提案であり、連邦政府の審査プロセスを通過するまで発効しません。60日間の一般からの意見公募期間が終了後、移民局は寄せられた意見を検討し、1つ以上の最終規則を通して規則の規定を最終化します。移民局は、H-1Bビザ発給枠対象申請の不正防止規定を優先事項としているため、これらの規定が最初に最終化される可能性はあるでしょう。
6 人工知能に関する新たな大統領令は、連邦政府機関に対し外国人のAI人材の獲得と維持に向けた取り組みを要請(23年11月)
概要
- バイデン大統領は、人工知能(AI)の安全保障、技術革新、進歩のためのガイドラインを確立するための広範囲に及ぶ大統領令を発表しました。
- この大統領令は、国務省に対し、AIやその他の重要な新興技術に携わり、研究、調査を行おうとする外国人のビザ申請手続き期間と取得可能なビザを合理化するよう指示しています。
- またこの大統領令は、国務省と国土安全保障省に対し、外国人のAI人材に影響を与えるビザやビザ申請のプロセスの見直しに着手し、ビザ申請手続きの緩和と優先順位付けを目指すよう指示しています。
- ほとんどの場合、各省庁は既存の入国管理政策や手続きに実質的な変更を加える必要はないため、この命令の移民法に関する点を実施するかどうかは、各省庁のリソースとイニシアチブに依存することになりそうです。
課題
バイデン大統領は、人工知能(AI)の安全保障、技術革新、進歩に関連する数多くの取り組みに従事するよう連邦政府機関に指示する包括的な大統領令(Executive Order、以下EO)を発令しました。その中には、移民局に対し、AI分野の外国人労働者を惹きつけ、アメリカでの活動を維持するための新たな方法を検討し、場合によっては法案を作るよう広範な指示が含まれています。EOの移民関連条項は、非移民および永住権政策に対応し、米国内外の両方で発生するビザ手続きに関連することになります。
非移民ビザ申請の領事手続きとビザ申請
EOを遵守するため、国務省(DOS)と国土安全保障省(DHS)は90日以内に以下の適切な措置を講じなければなりません:
- AIまたはその他の重要な新興技術の研究、研究、調査のために米国に渡航しようとする外国人のために、ビザ請願書および申請書の審査時間を合理化すること(ビザ申請の面接予約をタイムリーに確保することを含む)。
- AIやその他の重要な新興技術の専門知識を持つ申請者が、十分な数のビザを継続的に取得できるようにする。
また、国務省と国土安全保障省(DHS)はEOにおいて、これらの分野で特別な技能を持ち、米国での就労、研究、調査を希望する外国人を支援し、誘致するために裁量権を行使することを一般的に義務付けられています。
AIとJ-1ビザ交流プログラム
DOSは今後4ヶ月以内に、AIの人材に機会を与える可能性のあるJ-1交流訪問者プログラムの変更を検討するよう命じられました。これには、J-1交流訪問者技能リストを見直し、米国でのJ-1プログラム終了後、2年間の母国居住要件の対象となるAIおよび関連分野のJ-1非移民の数を減らす可能性があります。EOはDOSに対し、J-1交流訪問者の2年間の母国居住要件について、2009年に改定された居住要件の対象となる国と技能のリストの更新を含め、新たな規制を検討するよう促しています。
雇用に基づく移民政策の見直し
DHSは、Employment Based First Category、Employment Based Second Category(共に、雇用ベースのグリーンカード申請の申請枠)、O-1ビザ、国際起業家パロールプログラム(International Entrepreneur Parole Program)など、AIやその他の重要な新興技術の専門家のための既存のグリーンカード申請・就労ビザ申請の選択肢を明確化し、近代化するために必要かつ適切であると判断した政策変更を検討し、開始するよう命じられています。このイニシアチブは、2022年に発表されたSTEM人材プログラムと同様のガイダンスをもたらす可能性があります。
EOはまた国務省(DOS)に対し、今後の国内ビザ更新プログラムの作成において米国内のAI労働者を考慮し、最終的にF-1学生やJ-1交流訪問者にもプログラムを拡大できるかどうかを検討するよう求めています。また、DHSのH-1Bプログラム近代化規則案や、Adjustment of Status process(在留資格調整手続き‐グリーンカード申請手順のプロセスの一部)を合理化するための規則案も、DHSが政策立案時にAI人材への影響を考慮すべき分野として提案されています。
一般国民の関与
バイデン大統領はまた、AI、米国の労働市場、AI分野の外国人労働者に関連する事項について、米国市民を巻き込むよういくつかの省庁に指示しています。
労働省(DOL)は、グリーンカード・プロセスにおいて迅速な待遇が受けられる「スケジュールA」職業リストの更新を検討する目的で、一般からの意見を募集するための情報提供要請(Request For Information)を公表することが求められいます。DOLに対し、産業界および労働者擁護団体に対し、AIおよびその他のSTEM関連職業、およびその他の職業で、十分な能力を持ち、働く意志があり、資格要件を満たす米国人労働者の数が不足している職業を特定するよう指示しています。
DHSは、DOS、商務省、科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy)と協議の上、AIやその他の重要な新興技術の専門家が米国で働く選択肢を理解するのに役立つ情報源を開発・公表することが求められています。DHSはまた、2023会計年度末までにAIやその他の重要な新興技術の専門家の為に提出された就労ビザ申請やグリーンカード申請に関するデータを公表することも義務付けられています。
最後に、国務省は、海外の大学、研究機関、民間企業において、AIやその他の重要な新興技術の優秀な人材を特定し、アメリカへ惹きつけるためのプログラムを確立し、これらの人材に米国での研究や雇用の機会やリソースがあることを広報することが義務付けられています。
雇用者と外国人にとってのEOの意味
新しいEOは、バイデン政権が外国人人材の採用を通じてAIのイノベーションを促進することに関心を持っていることを強調していますが、直ちに変更が加えられる可能性は低いでしょう。米国領事館でのビザ取得可能枠拡大の指示のようないくつかの変更は、省庁の人員とリソースに依存する可能性が高いため、実際に変更が実施されるかはわかりません。また、新たな規則の制定を必要とする変更点は、正式な規則制定手続きに沿って行われるため、実際に規則が制定されるには何ヶ月もの時間がかかります。